外科医 ページ12
『…つまり元から？』
｢あい…｣
『ゾウ、という所に住んでいるミンク族の一人だって？』
｢あい、そうです…｣
ゾウ、初めて聞く場所だが何処にあるのだろう。
一度行ってみたいものだ。
あれからというもの何故かこの白熊、正座をして事情を話始めている。
別に怒っている訳でもないのだが。
『…いいさ、害がない事は充分分かった。お前達のいうキャプテンは見ていない。他の所に居るだろうよ』
｢ここも空振りかあ…｣
｢どこ行っちゃったんだろ…単独行動何て珍しくはないけどさ｣
｢まあ、気長に探そうぜ。先に戻ってるかもしれねェし｣
つなぎを着た三人組は何か言い合いをしながらその場を去って行った。
…謎は解けたが、ミンク族か。
他にも喋れる獣人がいるんだろうか。
……さて。
『何時までも木陰に隠れてないで出て来い。さっきから視線が煩わしくて敵わん』
声を投げると近くの木陰から人が姿を現した。
豹柄の帽子に長い刀。
帽子の下から覗く顔は不健康そのものと言った方がいいか、隈が酷い。
｢…よく分かったな｣
『嫌でも気付かざるを得んさ。嫌でもな』
｢クク、言いやがる｣
目付きは悪いが攻撃はしてこないだろう。
そんな素振りも見せない程小さく笑っている。
小さく溜息を吐いて湖に視線を戻した。
水面が太陽に照らされて光を反射している。
見ているだけでも綺麗だった。
｢…お前、何も気にしねェのか？｣
『何をだ』
｢今この状況しかねェだろ｣
偉くすぐ隣で声が聞こえたかと思いきや男の手が腰に回り、ぐっと引き寄せられる。
ギョッとした。
顔が近い、鼻先が触れるほど引き寄せられた。
『、おい』
｢やっぱり女か、どうして男のフリしてんのかと思ったが…何か理由が？｣
『…その単語軽々しく口にすんじゃねェ。今度こそ燃やすぞ、長刀』
空いた片手で腰の手を払い、数歩距離を取る。
何故だろう、飛んで逃げる事もできるだろうが、何故か今はそうしたくない。
無意味な気がしてならない。
『…能力者か』
｢察しがいいな、赤眼屋｣
ピク、手が動く。
妙に変な名を付ける。
『…覚える気はないが、名は』
｢何だ知らねェのか。…死の外科医、トラファルガー･ロー…何て言えば分かるか？｣
『知らんな、聞いた事もない。それ加え興味もない』
｢フ、フフ…飛んだ世間知らずだな｣
何とでも言え。
家族以外、覚える事なんてないのだから。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
