鬼の子、炎の子 ページ2
船に揺られてどれくらい経ったか。
恐らく一月経つ手前、そんな頃だった。
空は酷く曇っていた。
雨でも降る様な空だった。
だが雨の｢匂い｣はしなかったから、そんな心配はしなかったが。
とある何処かの島へ白鯨は停泊した。
しかしその島には既に先客がいた。
激しい衝突音や爆発音、時には燃え盛る、俺が出す炎の様なものまで確認できた。
誰かが戦っている。
白鯨の存在にも気付かないくらいに。
皆、なんだなんだと船の縁に集まっていたか。
釣られる様に俺も見ていた。
その島に居たのは、目にするのは初めてだった魚人族。
肌の色でそうじゃないかと感じ取った。
もう一方は人。人だった。
赤い炎を拳に纏い、ボロボロの状態で魚人族に立ち向かう男。
(あの状態で良く立っていられるな…)
目は何度も瞬いた。
関心の反面、炎を纏う男の後ろに目をやれば、顔は顰めたが。
海賊。
俺の知らない海賊だった。
海賊と知れば興味は無い、直ぐに興味は失せて縁から離れた。
｢おいおい見ないのかスザク？あのジンベエが五分五分で渡り合ってる奴だぜ？｣
コックが煩い、知ってるクセに。
『…俺が海賊嫌いなのは知ってるだろ。だから気が失せた。興味無い』
｢そう言うなよ〜。…アレ？親父？｣
気付けば親父殿が自ら進んで甲板へ出て来ていた。
点滴を外している、大丈夫だろうか。
それからというもの、あの男はボロボロの状態で親父殿に立ち向かった。
だが当然の如く、親父殿には敵わない。親父殿は傷の一つも負っていない。
勝負はとうに着いているだろうに。あの男。
自身の後ろに炎を放ち、仲間を守るではないか。
(……変なヤツ、変な海賊)
それとしか思わなかった。
この船の奴ら意外に関心を持たない俺はそうとしか感じられなかった。
あの親父殿の事だ、ここまで対抗する様な輩は恐らく…俺と同じ様に勧誘するだろう。
案の定そうだった。
男は否定の言葉を怒り混じりに叫びつつ、気を失った。
｢おお〜いスザク！出番だぞ、運んでくれ！｣
『誰が触るか、あんな薄汚れの海賊なんか』
｢グラララ…！サッチ、テメェが運べ｣
｢ええ〜？…まあそうしますケド｣
斯くして倒れた男とその仲間は船に上げられた。
男の仲間は取り返そうと迫って来たが気絶させる程度に撃退をした。
どうでもいい事だが
炎を操る男の名は、エースと言うらしい。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
