夢ならどうか覚めてくれ No.3 (ページ3)

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外回り中。

というのもザップさんからジャック＆ロケッツ買って来いって言われたお遣いのついでに散歩してるだけだけど。

『…あれ？』

そしたらいつの間にか見覚えのある通りに来たわけで。

普段からバディで空中を移動してるから下に目は向けなかったけど、建物に店の並びからすぐに思い出した。

そういえばここ、住んでた所だ。

『バディ、路地に降ろして。ちょっと歩きたい』

コンコンと爪先でバディをつついて路地に降ろしてもらう。

久しぶりに歩く道に懐かしさを感じていた所。

ふと足が止まる。

目に止まったのは、一つの花屋。

この街に来た俺を拾ってくれた、あの夫婦が営むこじんまりとした小さな花屋だった。

(懐かし…カーネーションにポピー、ゲラニウム…そっか、もうそんな時期だもんな)

ここを離れてどれくらい経ったんだろ。

おじさんとおばさん元気かな、俺ロスしてないかな。

…まああの二人なら楽観的に今頃元気にやってるよね～って毎日言ってそう、ハハ。

｢エリー、悪いけど僕の代わりにポピーに水を上げてくれないかな？｣

｢あらいいわよ。代わりにコーヒーでも沸かしてくれないかしら、アーロン｣

…って、言った傍から。

円満夫婦だなあ相変わらず。

｢…あれ？えっ？！A！君Aかい！？｣

『…ハハ、相変わらずな円満振りだね。おじさん達』

｢あらAじゃない！貴女帰ってくるなら連絡の一つくらい寄越しなさいよ！｣

『げうっ』

おばさんと来たら思いっきり俺の背中を叩くんだから痛いの何の。

いやたまたま立ち寄っただけでして。

『え、ええと…それについてはごめん、忙しくって。でも2人とも元気そうでよかった』

背中を擦りながら言ってみる。

そしたら2人とも顔を合わせてきょとんとした後、なぜかおばさんは俺の頬をつねり、おじさんは頭を撫でてきた。

『んえいひゃい、ほひてふぁに？ふぁんなろほのひょーひょう』

｢まだ子供の貴女がそうやって見栄張らないの、親の前なんだからちゃんと甘えなさい｣

｢そうだよ、エリーの言う通りだ。君は僕らの大事な家族なんだから、帰ってきた時ぐらい肩の力抜いたらどうだい？｣

なんて暖かい言葉を掛けてくれる。

自然と目の奥が熱くなって、それから少し話したりした。

『…ただいま』

｢｢おかえり、A｣｣

家族はいつでも暖かく迎えてくれる。

まあライブラに帰ったらザップさんに怒られたけどね。