貴人、変人、王 ページ17
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『ふいー…』
とある昼休憩。
先日ブラッドブリード戦に巻き込まれた空中楼閣に一人、息抜きをしに来ていた。
ここのコーヒーが意外と美味しくって、事務所でも真似したいなあとか思ってたり。
風はそれほど強くは吹いてこない。時々そよ風程度の風が吹き抜けていくだけで、こんな地上高い所にあるのにすごいなとか思って。
まあ吹き上げてるのは上昇気流なんだろうな、だから風が来ないだけというか。
｢相席よろしいかな、そこの君｣
『ああ…どうぞ、ご自由に』
席混んでたっけ。
けどそこそこ有名な所だし相席になるのも珍しくはないか。
｢しかしまあ君も勿体ない事をするもんだ、せっかく手に入れたその力をあの組織の為に使うなんてね｣
『…どういう意味だ』
カップを持つ手に自然と力が籠る。
手の影から細いイバラを自分の手に巻き付けた。
｢まあ落ち着きたまえよ、僕は別に戦おうって為に来たんじゃない。ここのコーヒーを嗜みに来ただけさ｣
改めて目の前の席に座った男に目を向ける。
何故か目は覆うような感じで見えない、白いコートを着込み優雅にコーヒーを飲んでいる。
…誰こいつ、何で俺の力の事知ってんだ。
『…アンタ誰だよ、変質者か？それとも単なるストーカーか？』
｢この僕に向かってそんな口聞けるのは今のうちだぞ、
ピク
自然と指が動いた。
こいつは何を知っている？どうして俺が｢そういう奴｣って事を知ってるんだ。
『どうしてお前の口から力の事が出る』
俺がそう聞くと、目の前の男は一層笑みを浮かべてこう言った。
｢僕は君に力を与えたやつと
『…あ？』
今なんつった、顔見知り？
俺夢でしか相対した事ないけど…顔見知り？
…つまりアイツ実体があるって事だな、これで殴れる事が実現できた。
｢君はその力をもっと有意義に使うべきだ。例えば…世界を壊したりなんかね｣
世界を壊す？ハッ、馬鹿馬鹿しい。
誰がそんなくだらねー事するかよ、俺は人間だぞ。
『嫌だね、有り余る力でそんな事しようなんざバカのやる事だ。俺はバカな人間じゃねぇ』
｢世界を支配する力を持ってしてもかい？その力、こちらの世界とあちらの世界…両方をいとも容易く支配できるというのに？｣
『…言ったろ、それはバカのやる事だって。持つからこそ慎重に使わなきゃならない。大いなる力には大いなる責任が伴う…って言葉通りな』
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年5月24日 0時
