緋色とセーラー

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私がオペラ君と手を組んだ日からしばらく経った頃。ついに私たちの噂が一年生にまで広がるようになった。

生徒達は私達のことを"バビルスの裏番長とさすらいの美術家コンビ"と呼んでいるらしく、校内新聞に掲載される回数も増えてきた。


そんな噂が流れるのも私達の作戦の影響だろう。ざっくり言うとこんな感じだ。

1.番長に不良達がボコボコにされる
2.ある女子生徒がその不良達を外傷のみ治療
3.現場に残されるのはいつも綺麗に並べられた意識の無い不良と素晴らしい絵画

この流れは最近できたテンプレであり、私が治癒した不良をオペラ君が面白がって並べ始めたのが発端だ。彼が無邪気に不良を並べている間、私は暇つぶしに絵画を一枚描き上げてしまったことからこのような噂が流れ始めたのだ。

…まぁ、2人とも面白くてやっている事なのだけれど。私もオペラ君に出会ってから、自由気ままな性格になってしまったようだ。




オペラ君と一緒に食堂でご飯を食べながら他愛もない会話を繰り広げていると、校内新聞に群がって騒ぐ生徒達が目に入った。

……あぁ、この前オペラ君が13人病院送りにした件ね。まぁ、あの時は私が狙われていたしな……。男子13人で1人の女子に絡むなんて、チキンすぎて治療する気も失せるし…何より、あの時オペラ君が珍しくキレてて建物の被害もすごかったのよね…。

『なんかあそこ騒がしいよね〜』
オ「そんなことより、早く描いてくれませんか?」
『はいはい、今日は何がいいの？』
オ「愛の言葉を綴って欲しいですね」
『念子ね〜おっけ〜(棒)』

オペラ君からオムレツの乗ったお皿とケチャップを渡され、慣れた手つきで念子を描く。愛の言葉なんて書く訳ないでしょ、全く……。

『はい、どうぞ』
オ「…愛の言葉は?」
『…しょうがないなぁ。これで許して?』

しゅん…と耳を垂らさせたオペラ君からお皿を奪い、ケチャップで可愛い念子の周りをハートで囲ってお皿を返す。

オ「…‼︎」
『ふふ、君は本当に素直だね』
オ「Aだけですよ」
『はいはい、ありがとね〜』

満足そうに食器を下げに行ったオペラ君を待っていると、近くから一年生と思われる子達の会話が聞こえた。

えーっと……なになに…?……上級生に絡まれた?…番長と間違われてる?…遺憾…不快…ほうほうほう……。

なるほど、この少年は番長と間違われて困っているのか。黒髪癖っ毛、2本ツノ、男か女か分からない服装…。確かに、そりゃ間違われるよね。どんまい、強く生きな少年。

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