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カルエゴside
嬉しそうに頬を染めるA先輩の頭を撫でるのは、紛れもなく叔父上だった。
オ「……Aは、度々ナベリウス教諭の元に訪れて部屋の掃除をしています」
オ「そして校内で自由に芸術活動ができるのもナベリウス教諭のおかげと言っても過言ではありません」
何故そんなにも涼しい顔をして好きな女が恋をしている相手のことを話せるのだろうか。俺だったらそんなことは出来ない。
バ「オペラ先輩は……いつからこのことを知ってたんですか?」
オ「手を組む前からです」
カ「そんなに前から……!?」
オ「はい。Aと手を組む前から私は彼女のことを知っていましたし、好きでした」
オ「お前達も1度は見たことがあるでしょう。Aの作品制作の様子を。他を惹き付け、そして誰も邪魔出来ない。完成した作品は勿論、アートを楽しむ彼女の姿は誰よりも美しい……そんな所に皆惹かれるのです」
オ「そして、彼女が1番に作品を褒めて欲しいと願うのはナベリウス教諭です。これはA本人から聞きました」
バ「A先輩本人から…!?」
オ「はい。どうやら1年生の時から彼のことが好きなんだとか。編入前のことですから非常に腹立たしいですがね」
オ「もしも私が入学時からAと一緒に過ごしていたのなら、と思うこともありました。…が、彼女の意思です、私の問題では無い」
目の前の光景に、ただただ胸を締め付けられるばかりだ。……そうか、先輩は、叔父上の前ではあんな顔をするのか。
頬を赤く染めて、先程自分が彫った扉を指さして褒めて褒めてと叔父上の手を引っ張るA先輩。叔父上が優しく頭を撫でてやれば、上目遣いで彼を見上げてはにかんでいる。
バ「……戻ろうか」
カ「あぁ……」
バ「オペラ先輩はどうしますか…?」
オ「私はもう少しここにいます。2人は気にせず授業に行って下さい」
オペラ先輩は飄々としたままオレたちに手を振り、そのまま先輩と叔父上の元へ行った。
やはり俺にはオペラ先輩の考えている事が理解できない。振られた翌日で、しかも好きな女は本命と嬉しそうに話している。そんな中に割って入ることなど俺には到底できることではなかった。
バ「……A先輩、すごく幸せそうだったね」
カ「……そうだな」
バ「ごめん、僕が余計な事言っちゃったからカルエゴ君……」
カ「…気にするな」
カ「……さて、どうやって叔父上を蹴落とすかだな」
バ「え?」
カ「言っただろう、諦めるつもりは無いと」
バ「……う、うん」
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瀬奈 - カルエゴくんの頭文字とバラムくんの頭文字がバカになってるのウケるw (8月25日 0時) (レス) @page22 id: c6462a906b (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - めちゃめちゃ面白いです!これからも頑張ってください!応援しています (8月24日 10時) (レス) @page5 id: e818ab7371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年8月13日 2時