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男子バレー部の皆さんに突然醜態を晒して迷惑までかけて、だけど自分じゃどうにも出来なくてもう駄目だと思っていた時に、よく聞き慣れた声が聞こえてきた。
月「こんなとこで何してるの?なんで泣いて…」
『け、蛍ちゃ……』
月「……ハイハイ、大丈夫だから。ちゃんと呼吸して落ち着いて」
理由を聞く訳でもなく、ただ優しく頭を撫でてくれる蛍ちゃんのおかげでぐちゃぐちゃになっていた頭がだんだんと落ち着いてきて涙もおさまってくる。よく聞き慣れた声に、ひどく安心してしまう。
山「ツッキーどうしたの…って、かぐちゃん⁉︎」
『…あ、山口くん』
少し遅れて山口君も現れ、泣き跡が残る私の顔を見て少し驚いていたけれど、何かを察してすぐにいつも通りに笑った彼は、じゃあ着替えてくるからまた後でね、とすぐに更衣室へと向かって行った。
それに続いて翔ちゃん達も更衣室へと消えていき、残されたのは上級生の方達と蛍ちゃんと私のみになっt「ローリングサンダー!!!!!」
ローリング…なんて?
今度は何だと声の主へと視線を移せば、私と同じくらいの背丈の男子生徒が体育館へと入ってきた。視線が合った瞬間、先ほどの坊主さん(仮)と同じようにこちらを凝視されて顔が強張る。
西「…なっ、なんだこの美女は‼︎誰の連れだ⁉︎って…そ、そんな……嘘だろ」
『…へ?』
西「…可愛い女子の制服の下に…ジャージ……」
田「ノヤっさん大丈夫か!?」
…………ん?
まるでこの世の終わりとでもいうような顔で膝から崩れ落ち、項垂れるその人に私の頭ははてなでいっぱいになる。私は何を見せられているんだ…?
…と、カオスと言っても過言ではない状況の中で目が点になっていると、上級生の方達が優しく声を掛けてくださった。
澤「えっと…月島の知り合いか?」
管「でも日向と影山が連れてきてたべ」
東「怖がらせちゃってごめんね……」
『あ…』
さっきは逆光のせいで顔がよく見えなかったけれど、さっき私が顔を見て泣き出してしまった先輩はにこやかに笑った様子が優しそうで、柔和な雰囲気の人だった。
『……こちらこそ突然すみません。人を見た目で判断するなんて…切腹です』
東「えっ!?いいよいいよ、勘違いされる事にも慣れてるし…」
『私の気が済みません。私にできる事があれば何でもしますので…どうかお詫びをさせて下さい』
東「そんな…いいのに……」
管「…じゃあ、マネージャーやる?」
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時