4 ページ6
チャイムの音が響き、放課を知らせる。
今日は何をしよう。今ハマってるRPGゲームのストーリーを進めてもいいし、ひたすら対戦ゲームでランクを上げるのも良い。図書館に寄って本を借りるのも良いな…。
「!…や!…香夜‼︎」
『!』
楽しい楽しいJKの放課後に思いを馳せていると、なんと目の前に翔ちゃんがいるではないか。しかも後ろには影山君もいる。少しソワソワしていてなんだか可愛い。可愛い…けど。
早くない?私なんてまだ鞄に教科書詰めてる途中だったんですけど。他のクラスとHRの終わりに差が出るのは分かっているが、それにしても早すぎやしないかこの2人。
というか、今日友達になったばかりだよね?
『2人ともどうしたの?さっき授業終わったばかりなのに』
日「走ってきた!!」
影「…っす」
『今から部活だよね?こんなとこで油売ってて大丈夫なの?』
日「そう!だからさ…」
……あ、なんか嫌な予感がする。
と思ったのも束の間、満面の笑みを浮かべた翔ちゃんは前のめりになって私の両手をキュッと握ってはっきりと言った。
日「部活!見に来てよ!!」
『……はい?』
答えは勿論NOだ。しかし、ただでさえ男友達なんて片手で数えられる程しか居ない私とせっかく友達になってくれた翔ちゃん達に躊躇なくそれを言える程私のメンタルは鋼じゃない。むしろ豆腐だ。ここはさりげなく断ろう…。
日「俺めっちゃすごいの打つからさ!だからお願い!!」
『うーん、でも影山君の意見も聞いた方がいいんじゃないかな〜?』
影「…すっげぇの、見せますんで」
『あー…』
何故か影山君もやる気に満ち満ちている。クールな人かと思っていたのに、結構スポ根で天然…?人を見た目で判断しちゃいけないけど、でも影山君ってそんなタイプに見えな…ううん、よく考えたら勉強を教えてくれって頼んできた時に後ろですごい頷いてたな。
…じゃない、断るんだった。何かそれっぽい言い訳をして切り抜けなきゃ……。
『えーっと…行きたいのは山々なんだけど、実はちょっと先生に頼まれごとしてて……』
日「そっか…あ、じゃあそれが終わったら来てよ‼︎結構遅くまで練習してるしさ‼︎」
影「なんなら手伝います。すぐに終わりますか?」
『あーーーー…』
駄目だ、こんなに綺麗な瞳をした彼らにこれ以上嘘をついて逃げるのは良心が傷つく。人として大事な何かを失いそう。でも…でもなぁ……。
『…行ってもいい、けど』
「「けど?」」
『……ちょっとだけだからね』
89人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時