兎にも角にも。 (ページ47)

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「「「「「勝ーって嬉しい花いちもんめっ‼︎」」」」」

「「「「「負けーて悔しい花いちもんめっ‼︎」」」」」

蒸し暑い体育館の中、練習前に8名の男子が花一匁を繰り広げている｡

烏野からは管原先輩､田中先輩､西谷先輩､翔ちゃんが｡
音駒からは黒尾さん、リエーフ君､6番さん、モヒカン(仮)が声を張り上げて小さな子供のようにはしゃいでいる。

黒「あーの子が欲しいっ!」
管「あの子じゃ分からんっ!」

『あの…なんで急に花一匁なんかしてるんですか?』

ドリンクの入ったキーパーを運んでいたところでそんな光景を目にしたので､足を止めて近くにいた東峰先輩にそう尋ねてみた。

東「あー…ほら、音駒はマネージャーが居ないからウチの一年生マネージャー2人のどっちかを合宿中だけ貸してくれって言われてさ｡それにスガが乗っちゃって」
『…はい?』
澤「止めたんだが聞かなくてな……すまん！」

いやいや､普通に困るんですけど。私と仁花ちゃんのどちらかが他校の高身長男子達に囲まれるなんて、何それ拷問?もしも仁花ちゃんがあの集団の中に放り込まれたらどうしよう…

谷「あわ…あばばばば……」

駄目だ、チワワみたいに震えてる。チラリと仁花ちゃんの方を見やれば、今にも彼女が持っているキーパーを落としそうだった。

『でも確か花一匁って、お互いが欲しい子を指名するんじゃ……』
東「こっちは音駒から1人助っ人を借りるんだってさ｡それを聞いて日向が参加したんだけど……」

黒「Aちゃんが欲しいっ！」
日「研磨が欲しいっ‼︎」

指名されたのは私かぁ……そして烏野が指名したのは孤爪さんか。確かに、翔ちゃんが気にかけてたもんなぁ…｡

まぁ兎に角､このじゃんけんに私と孤爪さんの命運がかかっているという事は分かった。ここは何としてても勝ってもらわねば。お願い翔ちゃん、勝って…‼︎

日・灰「「じゃんけんぽんっ‼︎」」

リエーフ君が出したのはチョキ｡そして翔ちゃんが出したのは___________

パーだった。

「「「「っしゃあおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」
日「うわあああああ負けた‼︎ごめん香夜ぁぁぁぁ!!!!」

『…ちょっと待った‼︎』

勢いよく挙手し、こちらに駆け寄ってきた翔ちゃんにキーパーを押し付ける。そしてそのまま体育座りをしている孤爪さんの前に立ちはだかった。

『確か本来は指名された人同士がじゃんけんしますよね?』
孤「え…」

『じゃーんけん、』
孤「ちょっ、」

『ぽんっ‼︎』