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誰が予想出来ただろうか。日本だぞ?東京だぞ?屋内だぞ?なんでそんな所にバナナの皮なんて落ちてるんだよ。そんなバナナって言葉、こういう時に使うのかな。
こうして悪態をついている間にも、体はバランスを崩して傾いている。スローモーションのようにゆっくりと床が近づいて、どうやって受身を取ろうかと考えていると、グッと動きが止まった。
黒「っと、危ねぇ〜…大丈夫?」
『…あ、はい』
……あぁ、受け止めて貰ったのか。とぼんやり思ったが、しかし瞬時に今のこの体制が非常にまずいという事に気がつく。
黒尾さんの腕にガッツリと私の胸が乗っかっているではないか。とんだセクハラをかましているではないか。
これはまずいぞと思った私はすぐにその腕をどかそうとするが、ビクともしない。男子高校生の力強すぎ。私はもう大丈夫なんですよ、それより私は貴方にセクハラをかましてしまっているので今すぐ離れなきゃいけないんですよ。
『あの、もう大丈夫なんで……⁉︎』
ペシペシと腕を叩きながら後ろを振り向くと、なんと流血していた。硬直したままの彼の鼻からは血が垂れており、私のTシャツにポタポタと赤いシミを作っていく。
『いやああああああああ‼︎黒尾さん死なないでっ‼︎』
どうしよう、音駒のキャプテンに血を流させてしまった。止血……は、この体勢じゃ到底できやしない。でも黒尾さんは怪我人(?)に変わらないし、誰かに助けを求めなければ___________
孤「クロ?そこで何してんの……」
『た、助けて下さい!黒尾さんが鼻から血を出してて…』
「…え、いやどう見ても君が襲われてるようにしか見えないけど……」
『血が!出てるんです‼︎早く‼︎』
丁度良いところに現れたのはプリン頭が特徴的な音駒のセッターさんだった。常に一緒にいた印象があるし、黒尾さんの事は彼に任せよう。
弧「えっと……腕どかせばいいんだよね?」
『はい、ビクともしなくって……』
二人は一人に勝るとはこの事。プリンさん(仮)のおかげでなんとか黒尾さんの腕からすり抜ける事が出来た。せっせと応急処置を施した後、さて未だに固まっている黒尾さんをどうしようかと2人で話し合う。
『どうしますか、これ』
弧「放って置いていいんじゃない?」
『流石にそれは可哀想じゃないですか?』
弧「…まぁ、どうにかしとく。明日も早いし、君も戻った方がいいよ」
『ではお言葉に甘えて…えっと、』
弧「…孤爪研磨」
『…あ、孤爪さん。よろしくお願いしますね』
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時