兎にも角にも。 (ページ40)

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?「あ〜…こうしたら分かる?」
『…あーー!!』

下ろしていた髪を軽くかきあげたその人は、確かに見た事のある人だった。えっと、確か音駒のキャプテンの……

『黒"子"さんでしたっけ?』
黒「黒"尾"ね。俺バスケ部じゃなくてバレー部だから」

そうそう、確かそんな感じの名前。なんか胡散臭くて怪しい壺とか買わされそうでちょっと苦手だと思っていたが、案外そうじゃないかも。強いて言うなら親戚のお兄ちゃんみたいだ。

黒「丁度良かった、マネちゃんに謝りたくてさ」
『?、私にですか？何かされましたっけ?』
黒「ウチの奴がごめんね?あれでも案外良い奴なんだよ､許してやってくんないかな」
『えっと…』

音駒の人に嫌な事されたっけ?と頭を捻ると、1つ心当たりがある事に気づいた。トラウマが植え付けられそうになったあの出来事だ。

『…もしかして、モヒカンさんの事ですか？』
黒「ブフォwww」
『違いました?でもそれくらいしか心当たりが無くて……』
黒「いや、合ってるよ。うん、確かにモヒカンだもんね…ククッ……」

突然吹き出してはやべぇ腹痛てぇ、とお腹を抱えて笑う黒尾さん｡私、そんなに面白いこと言ったか？

『それなら大丈夫ですよ。リエーフ君が助けてくれましたから』
黒尾「リエーフから聞いてる｡友達になったって喜んでたよ」
『友達…!!』

じーん、と胸が暖かくなる。リエーフ君､私の事友達だと思ってくれてたんだ……なんていい人なんだろう。

黒「そんなに友達になれて嬉しかったの？思ってたよりマネちゃんって可愛いね」
『いえ、友達が少ないのでちょっと感動してただけです｡可愛くはないですね、はい』
黒「うん、やっぱり君面白いわ」

会話が噛み合ってない。これは私がコミュ障だからなのか？いや、多分黒尾さんが私の話を聞いてないだけだ。そうに違いない。というか、私はマネちゃんという名前では無いのだが。

黒「マネちゃんさ…『香夜です』え？｣
『名前。マネちゃんじゃなくて…香夜Aっていいます』
黒「あ、そう。じゃあAちゃんね」
『え"』

いきなり下の名前呼びとは……やっぱり、あんま関わらないようにしておこう。

『じゃあ私はこれで失礼しま……』

無視無視。さっさとこの場を去って女子の花園へ向かおう。

_________とした時だった。突然視界がぐらりと揺れて、体が前へ傾いた。

まさかそこにバナナの皮が落ちているなんて、誰も思う訳が無いじゃないか。