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日「えっと…香夜……??」
翔ちゃんの背中に腕を回し、ぎゅっと抱きつく。私から抱き着いてきたことに驚いた翔ちゃんは、戸惑いながらも私の背中をさすってくれた。
日「その、大丈夫…??」
『こ、怖かった…夢に出て来ないといいな……』
モヒカンの悪夢なんて嫌だよ。夜中にトイレ行けなくなったらどうするんだ全く。あの音駒の人、確か田中先輩と仲良かったはずだから後で田中先輩に言いつけてやる。
『…あ、ごめんね翔ちゃん。いきなり抱きついてびっくりさせちゃったでしょ?』
日「全然!でもそれより…香夜、俺に抱き着いて大事なのか?確か男子に触れられるのが怖いって……」
指摘されて、はたと気づく。
そういえば私、さっきリエーフ君に運ばれていた(?)時も、思わず翔ちゃんに抱きついた時も拒絶反応が出ていなかった。
『…あれ?』
日「?」
『…あれれれ??』
日「か、香夜…??」
試しにもう一度翔ちゃんに抱きついてみるが、手が震えることも変な汗をかくことも無い。あのゾワゾワっとした悪寒もしない。……もしかして、克服できてる?
『翔ちゃん‼︎』
日「何だ⁉︎」
『私…男の子に触っても大丈夫になってる‼︎』
日「…!うおぉぉ!!!!!やったな、香夜‼︎」
『うん‼︎』
ふわりと体が宙に浮いたかと思えば、私の視線は翔ちゃんよりも上になる。2人とも嬉しさのあまり笑いが止まらず、ぐるぐると回ってきゃっきゃとはしゃいでいると、チクチクとした視線を感じた。
『……誰か居るの?』
日「…??」
『…もしかして、幽霊??』
日「えっ!?」
もしやあの時のモヒカンが怨霊となって現れたのだろうか。翔ちゃんの背中に隠れつつ、視線を感じた先をじっと見つめると、ゆっくりとその人影が動き出した。
谷「えっと、私です……」
「『……』」
『仁花ちゃん!!』
日「なんだ谷地さんか〜!」
視線の正体はモヒカンの怨霊ではなく可愛い可愛い仁花ちゃんだった。少し遠慮がちにお邪魔だったかな、だなんて聞かれてしまったので全力で否定した。そして全力で抱きしめた。
『嬉しい事があったからはしゃいじゃってたんだ。仁花ちゃんもこれから食堂行くでしょ?一緒に行こ!』
谷「う、うん」
日「腹減ったなぁ〜‼︎」
『私もお腹空いた〜』
谷「……」
夕飯は何だろう、と翔ちゃんと鼻歌混じりに喋りながら廊下を歩く。それにしても、あの時感じた視線は一つだけじゃなかったような。……ま、気のせいか。
谷「(月島君、大丈夫かな……)」
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時