31 ページ33
蛍ちゃんからの質問が意外すぎて､数秒間固まってしまった。
私が飛雄君を好き…?いや、確かに彼の事は好きだけれど､異性として好きかどうかと問われれば答えるのが難しい｡
『うーん…』
月「なんでAが考え込んでんの」
それは私も聞きたい｡
飛雄君は他の男の子と違って触られても大丈夫だし、私から触る事だって出来るけれど､それが私が飛雄君を異性として好きになる要因かと聞かれれば、じゃあずっと一緒に居てくれた蛍ちゃんはどうなるんだという事になる。
『飛雄君は…確かに好き。でも翔ちゃんも好きだし、仁花ちゃんも、山口君も……蛍ちゃんはもっと大好き｡ただ…』
月「…ただ?」
『飛雄君が私の背中を押してくれなかったら私は今こうしてマネージャーとして東京には来れなかったし、飛雄君のおかげで男の子も段々大丈夫になってきてるの｡だから…』
飛雄君に出会えたから、私は前向きになれた。飛雄君はやっと出会えた運命の人。そう、彼こそが私の___________
『飛雄君は私にとって"帝"みたいな人だとおも……ん?』
塞がれた。蛍ちゃんの大きな手で口を塞がれた。割と照れ臭い事を勇気を出して言ったのに…途中で止めやがったなこのメガネノッポめ。
月「もういい。聞きたい事は聞けたから…それ以上は言わないで」
『うん…?』
苦虫を噛み潰したような顔でそう言われたらこれ以上余計な事は言わないでおこう。…まぁ蛍ちゃんが聞きたかった事が聞けたならいっか。
月「まぁ…Aが偶に現実見えてないのは昔から知ってるけど」
『うっ……』
月「…でも」
月「Aが楽しいんならそれでいいんじゃない?」
『…‼︎』
さっきまで圧死してしまうのではないかというほど凄い圧をかけられていたのに、このメガネノッポ､結局最後は私が欲しい言葉をかけてくれる。……ちょっと遠回しというか、ストレートに伝える事が無いからわかりにくい所はあるけれど。……でも､凄く嬉しい。
『蛍ちゃん‼︎』
月「…何」
『ぎゅってしてもいいかな⁈』
月「は⁉︎やだよ、僕汗かいてるし」
『大丈夫だから!お願い‼︎』
心底嫌そうな顔で後退る蛍ちゃんに両手を広げてスタンバイしながら詰め寄ると、少しだけ周りを確認した蛍ちゃんは控えめに両手を広げてくれた。
迷う事なくその中に飛び込めば腰に腕が回され、優しく抱きしめてくれる蛍ちゃんに嫌がってた癖に、と笑みが溢れる。
月「…これで満足デスカ」
『うん!蛍ちゃん大好き‼︎』
月「………あっそ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らい | 作成日時：2024年2月12日 19時
