兎にも角にも。 (ページ4)

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日「頼む!!どーしても赤点取りたくないんだ!!なぜなら……」
『あ、それならさっき少し聞いたから大丈夫。遠征?だっけ､それに行きたいからでしょ？』

3人の会話が聞こえていた時、遠征という単語が出てきていたのでなんとなく察した。補習あったらその遠征とやらに行けないもんね。

日「そう！そうなんだよ!!だからさ、頼む!!どうか俺達に勉強を教えてくれ!!」
谷「わ、私でよければ……」
日「本当に!?」

谷地さんの返事に身を乗り出して喜ぶ彼がなんだか可愛くて、ついくすりと笑みがこぼれる。まるで子供みたい。

谷「でも果たして"メガネノッポ"さんより優しく教えられるかどうか……」
日「それは絶対心配ないよ」
『ﾝｸﾞｯﾌwww』

やばい、またドツボにハマってしまった。

『…私も良いよ。でも"メガネノッポ"さんは優しい人だよ』
日「えー!?有り得ねえ､つか想像ができん!!」
『んー…そうだね､確かに分かりづらい所はあるかも。でもとっても優しいんだよ。君もきっといつかわかるよ』

日「日向でいいよ、俺も普通に香夜って呼んでるし」
『……なるほど。じゃ、翔ちゃんね』
日「お？おう‼︎」

彼は日向でいい、と言ったのに対し私は全く別の呼び名で呼んだことに少し驚いていたようだったけれど､すぐに順応していた。とっても素直なんだな。

…と、呑気に皆んなで笑い合っていたが、ある用事を思い出して私は席を立った。

翔ちゃんと影山君の視線は突如立ち上がった私の顔から段々と下に注がれ、スカートから覗くジャージに移る。……気になるよね、こんな格好してる女子なんて珍しいから。

『…ごめん、ちょっと用事があったの思い出した。またね影山君､翔ちゃん』
日「おう‼︎」
影「…うす」

『…あ、谷地さん…じゃなくて､仁花ちゃんも！これからよろしくね‼︎』
谷「えっ、あっ、ひゃ、ひゃい！！」

3人と別れて教室の外に出れば、多くの視線が私に注がれる。そのどれもが私の下半身……要はスカートの下に履いているジャージに集まっている訳なのだが。

話し掛けてみろよ、という数人の男子の声が聞こえて来たと思えば、後ろから名前を呼ばれて仕方なく足を止めた。

「香夜さん…だよね?俺、入学式の時からずっと気になってて…もし良かったら連絡先教えてくれないかn『無理』…は？｣

これは自惚れでもなく、自意識過剰でもない。
女子というだけで、そして少し他と違うだけで面白がって声を掛ける男子達。……本当に苦手だ。