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『いやあああああああああ!!!』
冴「大丈夫だって、死にやしないんだからさ!!」
私は今ジェットコースターにでも乗っているのだろうか。絶叫系苦手なんだよなぁ……。
田中先輩の注意もちゃんと聞いていたつもりだけど、まさかここまで冴子さんの運転が荒いとは。完全に舐めていた。
影「香夜さん大丈夫っすか、酔い止めとか持ってますか?」
『持ってきてる…田中先輩の話は聞いてたからね……でも、ここまでとは思ってなくて……』
背中をさすってくれる飛雄君の優しさにスタンディングオベーションを贈りたい。本当にいい人だ、いい人すぎる。
日「なーなー、香夜って、やっぱり俺の事苦手なん?」
『えっ?』
日「いや、すぐに抱きついちゃう俺も悪いけど……その、なんか避けられてる?感じがして……」
『あー…』
助手席からこちらを振り向いて少しだけ悲しそうな顔をした翔ちゃんにそう聞かれ、なんと答えたら良いのか悩む。翔ちゃんの事は嫌いじゃないし、大好きなんだけど……いや、大切な友達だからこそ話すべきだ。
『…ちょっと、昔色々あって男の子が苦手なんだ』
日「そっか…」
『あ、でも翔ちゃんの事は大好きだから!!好きとか嫌いとか以前に、私の問題だから翔ちゃんは悪くないの』
『…ゆっくり慣れていくから、待っててくれる?』
日「…おう、いいぞ!!」
お日様のように明るくて暖かい笑顔。やっぱり私は、こっちの翔ちゃんの方が好きだ。
日「でもなんで影山は大丈夫なんだ?マネージャーの事も影山は知ってたし。あと…」
『あぁ、飛雄君は…』
日「それ!いつの間に下の名前で呼ぶようになったんだ?2人ってそんな仲良かったっけ?」
ビシ!と人差し指を指された私達は顔を見合わせ、首を傾げる。仲良くなる事にいつの間にも何もあるのだろうか。
冴「こら、あんま後ろ向いてっと酔うぞ」
日「うっ…確かに、ちょっと気持ち悪くなってきたかも……」
大人しく座り直した翔ちゃんの顔色は少し青かった。元気なのはいい事だけど、もう少し落ち着こうね。
『飛雄君は…特別だから。普通に触っても、私から触るのも、飛雄君なら大丈夫。私が今こうして烏野のマネージャーやれてるのも、飛雄君が私の背中を押してくれたからなんだよ』
隣に座る飛雄君はいつの間にか眠っている。補習頑張ったんだろうな。
『…ねぇ翔ちゃん』
日「ん?」
『飛雄君って、"王様"って呼ばれてたんでしょ?』
日「おう!もう中学の時から偉そーで…」
『…じゃあ飛雄君は、私の"帝"だね』
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時