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『この度は無理を引き受けて下さり、誠にありがとうございま……』
「あ〜、いいのいいの。あたしが好きでやってるんだからさ」
『お、お姉様…!!』
ジリジリと太陽の光が照りつけ、もうすぐお昼になろうかという頃。私はこのサバサバとした潔い美女_________田中先輩のお姉さんである冴子さんとある人物達を待っていた。
冴「でもあんたも面白いよね、まさか東京遠征に飛び入り参加するなんて」
『ちょっと皆さんを驚かせたくて。それに……』
冴子さんと話していたら丁度こちらへと走ってくる足音が2つ。よかった、一発で合格出来たんだ。
影「すんません!待ちましたか!?」
日「あれっ!?なんで香夜がここにいんの!?それにその格好…」
『びっくりした?』
肩で息をしながら私を指さす翔ちゃんはびっくりしているようで、事情を知っている飛雄君と私を交互に見ていた。
そんな翔ちゃんが面白くて、思わず笑みがこぼれる。
事情を知らず呆然と立ち尽くしている翔ちゃんに背を向け、真っ黒なジャージにプリントされた文字を両手の親指で指さし、一呼吸置いてはっきりと言葉にする。
『烏野高校1年5組、香夜A
……改め、烏野高校排球部マネージャーの香夜Aです!!』
日「…っ、うぉ〜〜!!!」
キラキラと嬉しそうに輝く瞳が眩しい。私がチームの輪に入る事を嫌がる訳でもなく、寧ろ喜んでくれることが何よりも嬉しかった。
日「香夜がマネージャー!?本当か!?本当なんだな!!」
『うん、本当。私も一緒に東京行くからね』
日「よっしゃああああ!!!」
『わっ!?』
翔ちゃんのお日様のような笑顔は大好きだ。でも、こうして抱きついてくるところはまだ慣れない。……駄目だ、やっぱり手が震えて……
影「おい日向、香夜さんびっくりしてるだろ」
日「えっ?…あー、ごめん!!俺嬉しくて、つい……」
『…ううん、私なら大丈夫だから』
……今、飛雄君が助けてくれた…?
助手席に乗る翔ちゃんをよそに、隣に居る飛雄君の方を見ると親指を立ててグッドポーズをしている。…ちょっと可愛い。
『…ありがと。助かった』
影「……約束したんで」
きゅん。
…あれ、なんだ今の音は。
冴「おーい、早くしねぇと間に合わねーぞ〜!ほら乗った乗った!!」
感じたことの無い胸の痛みに疑問を抱いていると、冴子さんの声で意識が引き戻される。
『すみません、すぐ行きます!ほら飛雄君も!!』
影「…?、うっす!!」
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時