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月島side
『夜中に出発するんだね､みんな大変そう』
月「…別に。車内で寝るから大丈夫」
『そっか。じゃあ余裕ある時に連絡してね｡蛍ちゃんからの連絡､楽しみにしてるから』
月「…気が向いたらね」
嘘。絶対連絡する。
時刻はとっくに12時を過ぎていて、辺りも真っ暗だ。そんな中、Aが家の前でこうして見送ってくれるのはこの上なく嬉しい｡
それに比べ、今回の遠征は東京までバスで長いし、わざわざ遠くまで行って練習なんて正直面倒臭い｡すごく嫌だ。行きたくない｡
『…行かないの?』
月「…いや、行きたくないなって思ってただけ」
『サボっちゃ駄目だからね!』
月「さぁ?どうだろうね」
『うわ、見下ろされながら言われると余計腹立つ…』
縮めばいいのに、と恨めしがる姿も可愛いとか言ったら、どういう反応をするんだろう。まぁそんな事､口が裂けても言わないけど。
『…じゃ、また後でね｡行ってらっしゃい』
月「?､うん」
Aの言葉が妙に引っかかるような気がした｡多分後で電話するとか、そういう意味だろうと勝手に納得しておく。
だってAが遠征に来る訳がないし｡そもそもウチのマネージャーじゃないんだから、あり得ない。
月「……」
東京へと向かうバスの中、先輩達が騒がしくて寝るに寝れない｡特に西谷さんと田中さん｡ほんっとに煩い｡これでもしあの単細胞2人が同じバスに乗ってたらもっと最悪だっただろうな。
ヘッドフォンを付けて寝よう｡…あぁでもその前に､Aの顔が見たい｡
携帯の画像フォルダを開き、この前撮ったAの寝顔を静かに眺める。撮るたびに思うが、よく気づかないよな。それにほんっと無防備｡相手が僕じゃなかったら即襲われてる｡
山「…あ、かぐちゃんだ」
月「……勝手に人の携帯見ないでくれる?」
山「そっか、ツッキーこの前かぐちゃん家に泊まってたんだっけ」
月「別に、よくある事だかr…」
｢｢ほぉ〜ん?｣｣
しまった｡見られた。しかもバレたら面倒臭い西谷さんと田中さんに。
後ろから携帯を取られ、勝手に画面を見られる｡……あぁ、最悪｡その画像は僕だけが見ていいものなのに。
西｢へぇ〜?ふ〜ん?｣
田｢美女の寝顔眺めてご機嫌ですか月島コラァ…｣
月｢…返して下さい｡それ僕のなんで｣
田｢それは"姫"がお前のものだって意味か?あぁ!?｣
月｢いや、そういう意味じゃ……って、"姫"ってなんですか｣
……また僕の知らない所でAが変なあだ名を付けられてる｡
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作者名：らい | 作成日時：2024年2月12日 19時
