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私、悪い事したっけ?と、お風呂に浸かりながらふとそんな事を考える。
確かに、蛍ちゃんには気軽に男の子と連絡先を交換しないように言われてはいる。でもそれは知らない人や私が苦手なタイプの人に限る。
飛雄君は友達だし、蛍ちゃんと同じ男子バレー部に所属しているのだから何も問題無いはずだ。
なのに何なんだ蛍ちゃんのあの態度は。不満があるなら正直に言えばいいじゃないか。こちらが空気を和ませようとちょっとしたジョークを言ったら余計に怒っちゃったし。
『…蛍ちゃんのバカ』
お風呂から上がると、蛍ちゃんは我が家のソファに堂々と座って待ち構えていた。
月「そこ、座って」
『は、はい』
蛍ちゃんが指差すのは床である。正座しろという意味だな、これは。今の状況だと蛍ちゃんの方が王様みたいだ。
月「…まず、なんで王様なんかと連絡先交換しようと思ったの?日向のは持ってないよね?」
『勉強を教えるにあたって必要だと思ったから…休日とかにも予定合わせて勉強会できるかなって…』
嘘だ。確かに勉強の事もあるが、マネージャーになったので東京遠征について色々と聞きたいことがあったからだ。それも部員には内緒で。
月「勉強会?どこでやるの」
『え、私の家だけど…』
月「……2人きりで?」
『え?うん』
何を当然のことを聞いているのだろうか。勉強会するんなら普通に家にくらい呼ぶだろう。
…と、ごくごく自然にそう思っていると、偉そうにソファに座るメガネノッポが立ち上がった。どうしたのかと問おうとしたが溜息の音で躊躇われる。
次の瞬間、私の頬に彼の人差し指が突き刺さった。
『ブェッ⁉︎』
月「あのさ、僕何回も言ってるよね?心開いたら懐きすぎるのやめろって。しかも相手男だし、王様だし。帝とかいつまで言ってんの?いる訳無いじゃん。あと男と2人きりになるってどういう事かわかってんの?ねぇ、ねぇ」
グサッグサッと人の頬を突くメガネノッポに、段々とイライラが募る。言っている事は分かるが、そんなに人の頬を突かなくたっていいじゃ無いか。
月「それに、仮に王様が君の家に来たとして。絶対あり得ないけど仮にそうなったとして。王様の前でもそんな格好するつもり?」
漸く突くのをやめたかと思えば、今度は人差し指を指されて現在の格好について指摘される。
私の今の格好はブラトップに短パン。季節的にも丁度いいと思うのだが。
月「肌見せすぎ。良くない」
『?、蛍ちゃんしか居ないから良いじゃん』
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時