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『……失礼します。武田先生はいらっしゃいますか?』
武田「はい!ここです!!」
放課後、職員室に行って武田先生の元へと話をしに来た。
少し奥の方に座っていた武田先生が手を振っているのが見え、小走りでそこへと向かう。
武田「香夜さんが僕の所に来るなんて珍しいですね!どうされましたか?」
『入部届、出しに来ました』
武田「そうですか、入部届を…えぇっ?」
凄い音がした。武田先生が椅子ごと後ろに倒れてしまった。
たった1枚の紙を提出しただけなのに、そんなに驚く事だろうか。
武田「か、香夜さん…ウチの部のマネージャーやるんですか…??やってくれるんですか…!?」
『ええ、まぁ』
武田「ほ、本当の本当に…??」
『はい』
何度も何度も用紙を確認しては私の顔を見る武田先生はいつもの穏やかな印象とはまるで違う。ちょっと面白いかも。
『不束者ですが、どうかよろしくお願い致します』
武田「こ、こちらこそ……」
ぺこりとお互いに礼をすると、お見合いか何かかと所々から聞こえた。確かに、不束者ですがって単語は滅多に使わないか。
武田「じゃあ香夜さんも東京遠征には参加するんですね」
『はい。あ、でも……先生にお願いがあるのですが』
『部員には内緒にしてて貰えますか?マネージャーになったこと、伝えなきゃいけない人には私が直接伝えますので』
武田「…?、よく分からないけど、分かりました!」
『ありがとうございます!』
『…あ、あの』
「?」
『田中龍之介先輩のクラスはどこですか…?』
「こ、こっちです!!」
『ありがとうございます!』
「そんな事より連絡先教えて…『ごめんなさい』
翌日、休み時間に用事があると言って山口君に飛雄君を任せ、2年生の教室へと単身で乗り込んだ。いいぞ私、1人で来れたの凄い。
田「うおっ!?どうした姫!!」
『田中先輩!ご無沙汰してます』
……姫?
『先輩、姫とは……?』
田「良いニックネームだろう!苗字からとった!!」
『なるほど…?』
確かに苗字が"
田「それで、俺に何の用だ?」
『えっと…田中先輩に、お願いがあるんです』
田「言っとくが俺は潔子さん一筋だからな!」
『……あ、はい』
駄目だぞ私、今からこの人にお願いしなきゃいけないんだから。死んだ目をしちゃ駄目だ。
『ちょっと耳貸して貰えますか?』
田「お?おう……えっ!?」
『…協力、頼めますか?』
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時