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どうやら例の件は私を嫌っていた女子によって仕組まれたものらしかった。
蛍ちゃんと山口君をそれぞれ別の件で呼び出し、1人になった私を襲うという算段だったのだとか。
二度と生意気な態度が取れないようにとビデオまで撮らせて私にトラウマを植え付けさせ、あわよくば蛍ちゃんとお近づきになりたかったらしい。
……なんて、下らない理由。そしてそれに巻き込まれた蛍ちゃんと山口君達にも申し訳なかった。
あれから私を襲った男子生徒及びそれを仕組んだ女子は転校してしまったけれど、私はしばらく外に出ることが出来なかった。
初めて私が生物として弱い生き物だと自覚した時、どうしようもない絶望で生きていることさえ苦痛だった。
徐々に保健室登校などで普通の学生生活を送れることが出来るようにはなったけれど、それでもやっぱり男性は怖い。
女の子らしくて可愛いミニスカートも履けなくなって、一番のお気に入りだったフリルの下着も捨てた。その代わりに胸を小さく見せる下着を付けるようになった。
『…てな感じで、私はジャージ女子となったのですよ影山君』
影「……」
『…ごめん、やっぱり重すぎたよね』
話の内容が重すぎて影山君の綺麗な心にダメージを与えるのではと考えて少しおどけて見せたけれど、影山くんの表情は曇っていた。
影「……だから、俺らの練習見に来てくれた時に先輩達に囲まれて泣いてたんですか?」
『うん、ちょっとびっくりしちゃって』
バレー部の皆さんの前で急に泣いちゃって醜態を晒してしまったことを思い出して少し恥ずかしく思いながら苦笑いすると、突然影山君の頭が下がった。
影「すんません!俺達、香夜さんの事考えずに……」
『えっ!?そんな、気にしなくていいよ!皆さんすごく良い人達だったし』
ほぼ土下座に近いほど頭を下げられ、顔を上げるように言うがなかなか言うことを聞いてくれない。影山君ってちょっと頑固なのかな?
『それに、2人には変人速攻?を見せてもらったし!あんな凄い技、初めて見たから面白かった!!また見たいって思った!!』
影「…ま、まじすか」
『まじです。とっても大マジです』
漸く顔を上げてくれた影山君の瞳はキラキラしていて、まるでテストで100点をとった小学生のようだった。……まぁ、今影山君が持ってる答案用紙は赤点なのだが。
『…よし、それじゃあそろそろ戻ろっか。休み時間終わっちゃう』
影「うす!」
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時