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『本当に良かったのに…ありがとね。今度ジュース奢るね』
影「…!あざっす‼︎」
会ったついでにと私が担任に頼まれた資料を一緒に資料室まで運んでくれた影山君にお礼としてジュースを奢ると提案すると、凄くわかりやすく喜んでいた。…なんか子犬みたい。
『…そういえば、一個でも赤点があると遠征には行けないの?』
影「いや、それについては田中先輩が救世主を呼んでくれるって…」
『じゃあ行けるんだ!良かった‼︎』
影「…まぁ、はい」
影山君の赤点は山を外した私のせいでもある。遠征に行けなかったら私は影山君に対して顔向けできなかっただろう。本気で頑張ろうとしている人の邪魔にならなくて、本当に良かった。
影「…あの、ずっと気になってたんすけど」
『なに?』
遠征の件が解決された事に安堵して資料室の扉を開けようとしたところで、急に真面目なトーンで話し出した影山君の呼びかけに動きを止める。少しバツが悪そうな顔をした彼にどうしたのかと聞き返せば、遠慮がちに質問が投げかけられた。
影「…その、なんでいつもジャージ履いてるんですか?真夏だから暑くないのかなって……」
『……』
『…確かに。そりゃ気になるよね〜』
影「…?」
腕時計を確認してみればまだ休み時間が終わるには余裕がある。資料室も広くはないが狭くもない。丁度人が2、3人座れるほどのスペースもあるし。
ドアノブの鍵をかけてそのスペースに座ると、手招きをして影山君も座るよう促す。意外とここは涼しいから、熱中症の心配はない…はず。多分。
『…先に言っておくけど、この事は他言無用でお願いします』
影「…うす」
…大丈夫、影山君なら話しても誰かに言いふらすことなんてしないだろうし、きっとちゃんと話を聞いてくれる。
『驚かないで聞いて欲しいんだけど、』
影「…は、はい」
『…私ね、性被害に遭った事があるの』
影「…え」
……やっぱり重すぎたかな?影山君みたいに純粋そうな人相手にこういう話はするべきじゃなかったか?
『あ、でも未遂…?だから‼︎うん‼︎私は大丈夫だったんで‼︎……やめた方がいい?』
影「……いや、大丈夫っす」
『そっか…でも本当に無理な時は言ってね?』
『まず、私は中学の時孤立しちゃってたんだよね。主に女子から嫌われてて。男子からもまぁ…ほら、私性格悪いからさ。
勿論その時も蛍ちゃんと山口君は私の味方で居てくれてたんだけど……蛍ちゃんモテるし、余計に女子から嫌われちゃって。それで…
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作者名:らい | 作成日時:2024年2月12日 19時