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『仁花ちゃんマネージャーになったの?』
谷「うん!」
少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそう返事しては笑う彼女に、私は一瞬なんて言ったらいいのか分からなかった。
『マネージャーが2人もいるなんて､いよいよ烏野も強豪だね‼︎』
谷「Aちゃんはマネージャーやらないの?」
『私は…いいかな。2人も居るんだし、マネージャーなんて多すぎてもよくないでしょ?』
谷「そっか…Aちゃんもいたらきっと楽しいと思ったんだけど……あ、それは私の我儘だ…ごめん」
さっきまで花が咲くような可愛らしい笑みを浮かべていたのに、仁花ちゃんの笑顔が曇ったように見えた。だけど私には私の事情がある訳で、軽い気持ちで本気で頑張ってる人達の輪に入ってはいけないと知っているからこその判断だったのだ。
『ごめんね…でも、私はこれからも仁花ちゃんとお友達でいたいな。毎日一緒にお弁当も食べたい』
谷「…!うん‼︎食べよう‼︎日向達も呼んで、これからも一緒に食べよう‼︎」
『ふふ、ありがとう』
影「…あ、香夜さん」
『お、影山君!テストどうだった?』
テスト返却後、休み時間に担任から任された荷物を運んでいると、紙を握りしめたまま今にも死にそうな顔をした影山君と遭遇した。表情から察するに、もしかして赤点とっちゃった…?
『えと…大丈夫?』
影「すみません､俺…」
チワワのように震えながらくしゃくしゃになった紙を見せられたので確認してみれば、それは赤点の答案用紙だった。…現代文か。
影「本当､すみません…丁度謝りに行こうと…」
『いやいや、私が山外しちゃったせいなんだし、そんな死にそうな顔しないで?』
確かに影山君の答案用紙は赤点だ。だけどよく見てみれば私が教えた所はちゃんと出来てる。漢字なんて満点だし、ちゃんと影山君が頑張ったところは実を結んでいる。それより…
『古典は赤点取らなかったんだ!』
影「…え?」
『私の得意教科だからさ、それで赤点とってたらどうしようって思ってたんだけど…』
影「…古典は､結構いい点取れてました。竹取物語とかは全部合ってて…」
『竹取物語､全部合ってたの…?』
影「は、はい…」
私が最も得意な教科は古典で、最も大好きな作品は"竹取物語"だ｡丁度今回の範囲になっていたから2人に教えている時はつい語っちゃって…でも、影山君はそれをちゃんと聞いてたんだ。…ちゃんと､勉強してくれてたんだ。
『…影山君』
影「…は、はい」
『上出来だよ‼︎』
影「…え?」
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作者名：らい | 作成日時：2024年2月12日 19時
