兎にも角にも。 (ページ2)

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Prologue ページ2

兎にも角にも､恋に落ちた訳であります。

僕だけに向けてくれるその無邪気な笑顔に、離れないようにと握ってくれるその小さな手に、何度も僕を呼ぶその声に。

兎にも角にも､幼い僕は簡単に恋に落ちた訳で。

『私にもいつか、帝みたいな人が現れるのかな〜!楽しみだな〜!!』

君は呑気にそう言うけれど、僕は帝なんて居なくていいと思う。地球に降り立って他の男に言い寄られるのは、竹取物語のかぐや姫本人だけでいい。

もしも帝とやらが君の前に現れる時が来たならば､僕は何がなんでも君を連れ戻す。

愚かな帝は、不死の薬も燃やしていつかまたかぐや姫に会えるかもしれないという希望を捨てた。目の前の寂しさに負けた弱者に､姫の隣に居る資格なんて無い。

いつか姫と別れてしまう帝になるくらいなら、姫を連れ戻す月の使者の方がよっぽどいい。だから、

月「現実見なよ。帝なんて居る訳ないデショ」
『そんなのまだ分からないじゃん。もしかしたら案外身近に居るかもしれないし』

月「……居ないよ」

多分一生、僕は君のその言葉を否定すると思う。