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『婚約…破棄…?』
カ「……そうだ」
そっ…か、そうなんだ。あ、へぇー、なんか意外と突然なんだな〜……。
突然告げられた事に驚きつつ、震える声で恐る恐るその理由を聞いてみる。
『…な、なんで?』
カ「簡潔に言うと…俺に婚約者が必要なくなったんだ」
カルエゴ君の話では、今回の婚約破棄はナベリウス家が決めたことらしい。
カルエゴ君は次男だから、自分が添い遂げる相手は自由に選んでいいと言われたそうだ。
なら最初から婚約者なんて決めなくても良かったのでは?という疑問が呈されるようだが、初顔合わせの時にカルエゴ君が婚約者を選ぶ意志を見せ、さらにカルエゴ君と私の仲が良かったのでまぁ身内になってもいっか、とナベリウス夫妻に思われていたらしい。
寧ろ、優れた能力を持つ私をどうにかしてナベリウスの手の内に収めて置きたかったのだとか。…まぁ、確かに魔関署で働けるほどではあるけれど。
だけどカルエゴ君はバビルスに入ってから私ばかりを気にかけている様子だったので、1人の女性にこだわらず他の女性とも親交を深めてからじっくりと自分が添い遂げたい相手を探すべきだと判断したのだとか。
『…え、君ってそんなに女性関係狭いの?』
カ「あ"?」
『ごめんって』
まぁ、私が気に入らないとかそういう理由じゃなくて良かった。
寧ろカルエゴ君と私の意志を尊重する形での婚約破棄だから、円満な婚約破棄と言えるだろう。
ずっと願っていた婚約破棄。何度も枕を濡らしながら嫌悪し続けた決められた未来が無くなったのだ。
……なのに。
何故こんなにも胸が苦しいのだろうか。泣きそうになるのだろうか。ようやく自由になったのに、どうして心から喜べないの?
カ「A…?」
『…よ、良かったわね!これで君も私も自由だわ!!』
今まで婚約破棄の為だけに頑張ってきたじゃない、もっと喜びなさいよ、ティターニア・A!!
『両親は混乱してるだろうけど、事情を話せばきっと理解してくれるわ』
カ「……そうか」
『うん。そういうことだから、君も良い子見つけなきゃ!!…あ、なんなら私が手伝ってもいいわよ?』
じわっと視界が滲む。惨めな顔を見られたくなくて、カルエゴ君から背を向ける。
『…ありがとね、わざわざ家まで運んでくれて。また何かお礼するわ』
カ「…礼など要らん。お前は早く治せ」
『…うん』
……嗚呼、どうして今になって気づいたんだろう。
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らい(プロフ) - あまねさん» 素敵なコメントありがとうございます!読者の皆様がカルエゴ先生のお嫁さんですので、楽しんで頂けたら幸いです(ー̀֊ー́˶ჱ̒ (5月5日 23時) (レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - およめさんんんんんんんんんかわあいいい (5月4日 16時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 悠鱸さん» ありがとうございます!!最近は忙しくてサイト覗けていなかったのですが、こちらでもコメント下さって凄く嬉しいです!是非今後ともよろしくお願い致します(^_ _^) (1月21日 17時) (レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
悠鱸(プロフ) - やっぱりスゥッとお話が入ってきますね!?それほど語彙力があるというか、長さがちょうどいいと言いますか、吸収しやすいと言いますか…。あの…はい、好きです、。めちゃ好きです…好き以外の言葉が出てきません、それぐらい好きです、笑 完結するまで見まくります (1月21日 10時) (レス) @page21 id: 1e852fcc4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年12月13日 12時