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………本当の本当に、最優秀賞獲っちゃったよ(震)
別に嬉しくない訳では無い。そもそも、うちのクラスの目標が最優秀賞を獲る事だったのだから当然喜ぶべき事だ。
しかし、表彰されている間も審査員の方の講評を聞いている間もずっと顔に溜まっていた熱がおさまらない。演奏で一生懸命頑張ったから、と言い訳も苦しくなってくる頃だろう。
カ「…おい」
『ひゃい!?』
クラスでの打ち上げ中、最優秀賞受賞によってテンションが高くなっているクラスメイト達から少し離れた所でゆっくりしていると、カルエゴ君に背後から声をかけられた。
『な、なななんでしょう』
カ「……少し、いいか」
『う、うん』
小さく頷いた私の手を握ったカルエゴ君の手は珍しく熱くて、余計に心臓が早鐘を打ち出す。
クラスメイト達には気づかれないように楽しい打ち上げの場から静かに抜け出し、いつもの屋上へと向かう中でもバクバクと心臓は高鳴る一方だった。
……やっべぇ何話そうかしら。
『…カルエゴく』
屋上に辿り着いた途端、何故だか気まずい空気が流れて何か喋ろうとしたが、カルエゴ君に突然抱きしめられてそれは阻まれた。
今までも抱きしめられた事はあったけれど、ぎこちなさの中に少しの丁寧さがあった。力加減というか、配慮というか。どこかで踏み留まろうとしている感じがしていたのに、このハグはそうじゃない。
『く、苦しいよカルエゴ君…』
カ「……煩い」
苦しいくらいに力強く、何かを噛み締めるようなハグ。ひたすら逃がさまいとしているような、ずっと欲しかったものが手に入った子供みたいで何だか愛おしい。
『…最優秀賞、おめでとう』
カ「お前が頑張ったからだろう。俺だけの力じゃない」
『でも結構焦ったのよ?指震えちゃってたし』
カ「フン、お前らしいな」
『ちょっと、それどういう意味?』
いつものやり取りに、いつもの空気感。これが1番心地いい。
カ「…A」
『…は、はい』
カ「覚えているか?…音楽祭で最優秀賞を獲ったら…俺の、こ、恋人になると言う約束だが…」
『……うん』
カ「あれは一方的だった…お前の気持ちを確認せずに俺は…」
『…はぁ〜?』
ここまで来てそんな事言う?カルエゴ君だって私の気持ちに気づいてるからそんな賭けをしたんじゃないの?
『……ほんっと、カルエゴ君ったら乙女心が分からないんだから。そんなんじゃ誰も見向きしないわよ』
カ「ウグッ…」
『……私だけは、ずっと君のそばに居るけど』
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らい(プロフ) - あまねさん» 素敵なコメントありがとうございます!読者の皆様がカルエゴ先生のお嫁さんですので、楽しんで頂けたら幸いです(ー̀֊ー́˶ჱ̒ (5月5日 23時) (レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - およめさんんんんんんんんんかわあいいい (5月4日 16時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 悠鱸さん» ありがとうございます!!最近は忙しくてサイト覗けていなかったのですが、こちらでもコメント下さって凄く嬉しいです!是非今後ともよろしくお願い致します(^_ _^) (1月21日 17時) (レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
悠鱸(プロフ) - やっぱりスゥッとお話が入ってきますね!?それほど語彙力があるというか、長さがちょうどいいと言いますか、吸収しやすいと言いますか…。あの…はい、好きです、。めちゃ好きです…好き以外の言葉が出てきません、それぐらい好きです、笑 完結するまで見まくります (1月21日 10時) (レス) @page21 id: 1e852fcc4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年12月13日 12時