64 ページ17
驚いて後ろを振り向けば、2人分の飲み物を手に持ったカルエゴ君が立っていた。
『あぁ…ちょっと息抜きに』
カ「…まぁ、ずっと練習しっぱなしだったからな」
隣に座ったカルエゴ君をチラリと見て、多分これは続けても大丈夫そうだと判断した私は、昔から大好きな曲を弾き始めた。
『〜♪』
カ「…リリス･カーペットか」
『うん、正解』
好きだよな、この曲、と言いながらあたかも当然かのように合わせてくれるカルエゴ君はやっぱり優秀としか言えなくて。
余計に私なんか釣り合わないと胸が苦しくなりながら演奏を続けていると、頭の中に知らない情景が浮かんできた。
『…?……っ!?』
カ「フン、間抜け面だな」
『う、うるさい!!』
動揺したのが隠せなくて、それを見たカルエゴ君にしたり顔で笑われ、恥ずかしくなって肩で軽く小突く。
だって、だってそんなの、反則じゃない。
初めは楽しそうにカルエゴ君とリリスが花畑で踊っていて、途中から追いかけっこになって、無邪気に笑うリリスの顔を隠すベールがめくれたかと思えば、私だった。
そんなの"貴女は私のリリスです"と言っているようなものと同じで。アプローチの仕方がロマンチックだなぁおい!!
『ばか、ほんっとカルエゴ君のばか!!』
カ「悔しかったら反撃してみろ」
熱くなった頬が冷めることは無く、悔しくて反撃しようと精一杯演奏を続ける。…くっそぉ、私だってやれば出来るわよ!!
ご丁寧にカルエゴ君がぶつけてきたイメージの続きを自分の中で作り上げてみると、カルエゴ君の手が止まった。
『ふんっ!!』
カ「……は？」
カルエゴ君に追いかけられた
沢山の殿方が愛の言葉を紡いだ手紙を差し出し、
……が、
惨敗した殿方に背を向けた
『どうよ!!私だってこれくらいちょちょいのちょ……え』
一通り弾き終えて満足してえっへん、とカルエゴ君に向き直ると、両肩をガッシリと掴まれた。
『な、何…?』
カ「お前まさか…その、俺の事を…｣
あ、しまった
まるで逃がさないとでも言うかのような瞳から視線を逸らし、蚊の鳴くような声で誤魔化すしか無かった。
『そ、それは…音楽祭が終わった後のお楽しみ…です』
カ「……分かった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らい(プロフ) - あまねさん» 素敵なコメントありがとうございます！読者の皆様がカルエゴ先生のお嫁さんですので､楽しんで頂けたら幸いです(ｰ̀֊ｰ́˶ჱ̒ (5月5日 23時) (
レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - およめさんんんんんんんんんかわあいいい (5月4日 16時) (レス) @page36 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 悠鱸さん» ありがとうございます!!最近は忙しくてサイト覗けていなかったのですが､こちらでもコメント下さって凄く嬉しいです!是非今後ともよろしくお願い致します(^_ _^） (1月21日 17時) (レス) id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
悠鱸(プロフ) - やっぱりスゥッとお話が入ってきますね！？それほど語彙力があるというか、長さがちょうどいいと言いますか、吸収しやすいと言いますか…。あの…はい、好きです、。めちゃ好きです…好き以外の言葉が出てきません、それぐらい好きです、笑 完結するまで見まくります (1月21日 10時) (レス) @page21 id: 1e852fcc4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らい | 作成日時：2023年12月13日 12時
