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オ「すぅーーーーーーーーーーーー……」
『……』
吸われている。猫とか犬とか可愛いペットの腹を吸って癒される人間と同じような感覚で、肩に顔を埋められて吸われている。
米俵よろしく担がれてクララさん達から引き離され、武器庫に連れて来られたかと思えば膝の上に乗せられて今に至るのだが……なんだこの状況は。
私もたまにシャリちゃん吸うけどさ。私はペットじゃないっての。仕事から帰ってきて早々なんでこんな扱いを受けなければならないんだ。全く、腹立たしくてしょうがない。
『あのー、そろそろ離してもらっていいですかね。クララさんが気になって仕方ないんですが』
オ「…あと10分」
『ふざけんな、さっさと離せこの変態』
武器庫で下手に暴れるのは危険だし、というかそもそもこの馬鹿力に私が勝てるはずもなく。私が解放されるには、説得という手段しかない。
『離してくれよ〜、そろそろこの体勢もキツくなってきたんだけど』
オ「……あと20分」
『おいコラ増えてんじゃねぇか』
やや前のめりになって抱きつかれているせいで正直腰が悲鳴を上げそうだ。……それにしても、長くないか?
『…君らしくないね、私が居ない間に何かあったの??』
オ「…うるせぇ」
『じゃあ離せよ』
ぶっきらぼうに返事をする癖に、私の肩に顔を埋めたままぐりぐりと頭を動かすオペラがなんだか小さな子供のように見える。矛盾したその様子から察するともしかして……
『……寂しかったの?』
オ「は?」
あ、やべ。
私の言葉に対していつもより低い声で返事をされたので地雷を踏んでしまったのではないかと焦る。…まぁ、例え好意を持たれていると言っても、今のは自意識過剰だったかも。
オ「……そうだと言ったら?」
『え?』
オ「お前が居なくて寂しかったって言ったら、何かしてくれんのか?」
耳元でそんな事を言われて肩が跳ねると、肩から顔を離したオペラと視線が合った。
涼し気な表情でこちらを見つめる視線は期待に満ちていて、思わず逸らしてしまいそうなところを顎を掴まれて止められる。
オ「噛んだら殺す」
『は?え、ちょ』
待って、と言う前に柔らかいものが唇に触れ、すぐにそれは離れた。だけどその間の一瞬がまるでスローモーションのようにゆっくりと感じ、突然の事に動きが止まる。
『え、あ、うあ』
オ「……すげぇ可愛い」
混乱する私の顔をまじまじと眺めたオペラは、満足したように笑っていた。
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らい(プロフ) - さくらさん» 素敵なコメントありがとうございます!!素人の拙い文章ですが、楽しみにしてくれているなんて光栄です😭ゆっくり更新していきますので、是非これからも楽しみにしていただけると嬉しいです!! (3月21日 21時) (レス) @page46 id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - いつも最高のお話をありがとうございます😭続きも楽しみに待ってます!受験も頑張ってください!! (2月12日 22時) (レス) @page46 id: e8dfac7bef (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 続きが早くみたい! (11月9日 23時) (レス) @page22 id: 8e30180732 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 蓬さん» いつもご愛読頂きありがとうございます‼︎今回の作品も楽しんでいただけたら嬉しいです🥰 (10月29日 23時) (レス) id: 548d1d254d (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - 最近、忙しくて久しぶりに来てみたら新作が😭😭😭今回の作品も大好きです…ほんと、大好きです、ありがとうございます🥹 (10月29日 23時) (レス) @page16 id: 78f3750f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年10月16日 20時