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『……』
ク「Aちゃんどうして抱っこされてんの〜??」
『クララさん、これは抱っこではなく担がれているんですよ。それからその呼び名は出来ればやめて頂きたいのですが……』
金庫室の前でクララさんが不思議そうな顔をして少し上の位置にある私の顔を覗き込んでいる。
つぶらな瞳が可愛らしくて思いきりハグをしたい所だが、先程クララさんに説明した通り、私は米俵よろしく担がれているのだ。他でもないこの
『降ろせ降ろせ降ろせ降ろせ……』
オ「やだね」
抵抗をしても無駄なのは分かっているので無闇に暴れたりはしないが、それをいい事にクララさんとアスモデウス君の首に掛けられたものと同じ"問題児"と書かれたプレートを私の首に掛けられている。このプレートは貴様の物だろうがこの野郎。
ク「したっぱーこれなんて書いてんの?」
アズ「……」
『クララさん、この世の中には知らなくていい事もあるんですよ』
ク「そーなの?」
『そうです。クララさんはそのまま純粋で可愛らしいままでいて下さいね』
ク「わかった!!」
そうだ。クララさんだけは純粋で可愛いままでいて欲しい。人を玩具のように扱う変態なんぞにクララさんを取られてたまるものか。
アズ「大丈夫ですよAさん。此奴は一生阿呆なままですから」
『あはは…クララさんなら心配いりませんよ……』
だがしかしアスモデウス君は苦手だ。貼り付けたような笑顔が怖いと感じる。それに今、クララさんを馬鹿にしたような…?
水槽に絵の具を一滴垂らすとすぐに色が広まっていくように、一度抱いた疑念はじわじわと私の中で大きくなる。
アスモデウス君がもしもファミリーに害をなす存在だったらどうしよう、と頭の中でぐるぐると不安が渦巻く。これがただの杞憂であればいいのだけれど……。
『わっ!?』
オ「私達は用事があるので。大人しくそこでカルエゴ君の指示を待つように」
突然視界がぐらりと揺れたかと思えば、なんとオペラは私を担いだままスタスタと歩き出した。カルエゴさんとイルマ君がまだ話していると言うのに、新人2人を置いていくつもりか?
『急に何だよ!降ろせ!!新人は誰が案内するんだ!』
オ「どうせカルエゴ君がやってくれるだろ。あんま騒ぐな」
『そんな事言われたってカルエゴさんにも仕事が……ひゃんっ!?』
軽快な音を立てて尻を叩かれ、間抜けな声が出ると後頭部より後ろから鼻で笑う声が聞こえた。この…っ!!
『降ろせぇぇぇぇぇ!!!!!!!』
オ「やだね」
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らい(プロフ) - さくらさん» 素敵なコメントありがとうございます!!素人の拙い文章ですが、楽しみにしてくれているなんて光栄です😭ゆっくり更新していきますので、是非これからも楽しみにしていただけると嬉しいです!! (3月21日 21時) (レス) @page46 id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - いつも最高のお話をありがとうございます😭続きも楽しみに待ってます!受験も頑張ってください!! (2月12日 22時) (レス) @page46 id: e8dfac7bef (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 続きが早くみたい! (11月9日 23時) (レス) @page22 id: 8e30180732 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 蓬さん» いつもご愛読頂きありがとうございます‼︎今回の作品も楽しんでいただけたら嬉しいです🥰 (10月29日 23時) (レス) id: 548d1d254d (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - 最近、忙しくて久しぶりに来てみたら新作が😭😭😭今回の作品も大好きです…ほんと、大好きです、ありがとうございます🥹 (10月29日 23時) (レス) @page16 id: 78f3750f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年10月16日 20時