被食者にだけはなりたくない。

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『ん……』

カーテンから朝日が差し込み、小鳥の囀りが聞こえて目を覚ます。御屋敷に戻ってきて初めての朝だ。

胸元に違和感を覚えて重たい瞼をあけてみれば、私の胸に顔を埋めて眠る変態(オペラ)がいた。

『……い、いやあああああぁああああああああああああぁぁぁ!!!!!!』
オ｢うるさ……｣

気だるそうに目を擦りながらのそのそと起き上がるオペラに平手打ちをかまそうと右手を振り上げるが、手首を掴まれて止められてしまった。

『な、なんで私の部屋にいるの!?ちゃんと厳重に鍵かけてたはずなのに……』
オ｢壊した｣
『こわしっ…はぁ!?』

ドアの方を向いてみれば、昨夜から厳重にいくつもの鍵をかけていたドアがボロボロになっていた。

『修繕費いくらするんだろうこれ…』
オ｢さぁ?そのままでいいんじゃねぇか?どうせ修理してもまた壊すし｣
『壊すこと前提…というか、侵入する気満々じゃん……ﾊｯ』

朝から頭が痛くなるようなことに片手で頭を抱えてため息をついていると、それよりもっと気にするべきことに気づく。

現在の私の格好は寝苦しいからと言う理由で下着姿のまま。ほぼ裸も同然だ。

血の気が引いていく音がして急いでシーツを確認してみる。……よかった、セーフだった。

『…ホッ』
オ｢失礼な。寝てる相手を襲う趣味は……あるかもしれない…｣
『駄目だよ!?倫理観バグってるよ!?』

一刻も早くこの変態から距離を置き、服を着なければ。ベッドから降りようと体を動かすが、何故か動きがピタリと止まる。

後ろを振り向いてみれば、腰に腕を回されている。…いや、抱きしめられていると言った方が正しいか。

『…あの、離してくれないかな』
オ｢無理｣
『無理じゃないでしょ』
オ｢眠ぃ…｣
『離せって言ってるでしょ、このっ……くっ、馬鹿力が…!!』

ギギギ…と抵抗してもビクともしない。これでは朝から余計な体力を消費してしまうではないか。

オ｢んー…｣
『わっ!?ばか、触るな!!ちょ…触り方がなんかいやらし…んっ』

しまった、と思ったが時すでに遅し。

恐る恐る振り返れば、鉄仮面のようなオペラの口角がニヤァ…とつり上がっていく効果音がした。

オ｢お前、結構弱いよな｣
『よ、弱くないやい!!』
オ｢…やべ、朝から襲っちまいそう｣
『ギィヤアアアアアアアアアアアアア!!!』

あと一歩で組み敷かれるというところで決死の頭突きをかまし、そのままもしもの時用に隠しておいたロープでぐるぐる巻きに拘束して朝の準備を終えた。

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