被食者にだけはなりたくない。

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「えっ!?シャルちゃん辞めちゃうの!?」
『はい、諸事情で引っ越すことになりまして……』

イルマくん達と同じお屋敷にまた一緒に住むことになったので、副業を辞めることにした。

一人暮らしだから自分の生活リズムが多少乱れても問題なかったけど、イルマくん達と同じお屋敷で首領(ドン)や若頭(ボス)と共に時間を過ごす以上、今までのように副業で不規則な生活に巻き込む訳にはいかない。というかイルマくんにはシャルの姿で顔が割れてるからね。お屋敷でうっかりシャルの姿で出会したら詰みだもの。

元々バビルの金庫番補佐としての仕事で十分すぎる程のお給料は頂いてるし、＋‪αで稼げるだけ稼ごうと考えてたくらいだから特に副業を辞められない理由は無い。















……ということで。

「シャルちゃんが引退なんて寂しいよ〜!!あ、ドンペリ追加で!」
『わ〜、ありがとうございます♡』

只今引退イベント開催中です。

じゃんじゃん高いお酒が頼まれて、ヘルプの子がお酒に弱い私に代わって沢山飲んでくれている。いやぁ〜、楽しいなぁ‼︎

そんなこんなでオレンジジュースを飲みながらいつも贔屓にしてくれているお客さんと楽しく談笑していると、また1組お客さんが店へとやって来た。

イ「シャルさんっ!!」
『え"っ』

にっこにこの笑顔で大きな花束を持っているのは紛れもなく我がバビルの若頭(ボス)であるイルマくんで、その後ろには気だるそうにオペラが立っている。

『な、なんで…てか眩しっ…!!』
イ「シャルさんがお店辞めちゃうって聞いて…急いで来ちゃいました!!」
『ｳﾞｯ…』

眩しすぎるその笑顔に心臓がギュンッと鷲掴みにされるが、すぐに冷静になって頭の中を回転させる。

何故ここに?どうして私がお店辞めるの知ってるの?両手に抱えている豪華な花束はいくらかかったの?etc…とにかく頭が爆発しそうなほど情報量が多い。

動揺でキョロキョロと視線が彷徨う中、相変わらず鉄仮面のように無表情なまま他の嬢に囲まれているオペラと視線が合うと、だんだん口角が上がって意地の悪い笑みを作っていた。まさか…

オ「…ふっ」
『‼︎』

お前かよ‼︎

事の発端となる人物に怒りでワナワナと震える拳を押さえながら、お客さんには分からないようににっこりと笑う。まじで覚えてろよ…。

イ「お店辞めても体調に気をつけて下さいね‼︎」
『……』



















『はうっ‼︎』

やっぱり、うちの若頭(ボス)は天使である。

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