被食者にだけはなりたくない。

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バビルの廊下をルンルンで歩いていると、オペラに背後から呼びかけられた。

『お疲れ〜!イルマく…じゃないや、若頭(ボス)の護衛はどうした?』
オ「…今日はパーティーだけだったから、特に仕事は無い」
『そっか。…まぁこれから忙しくなりそうだし、君も無理しないようにね〜』


オペラは幼馴染であり､気を許した1番の友人だ。
私がバビルに拾われて1年ほど経った頃にイルマくん…現在の若頭(ボス)と一緒にファミリーとなって以来、もう9年が経った。

先にバビルのファミリーとなった私よりもオペラの方が年上な為、なんだか不思議な感じもするけれど、心の底から兄のように慕っている。……私が女という事は隠したままだけど。



手をヒラヒラと振り、軽く挨拶だけしてさっさと帰ろうと歩き出せば、何故か着いてきた。…まだ何か？

オ「この後空いてる?」
『空いてない…と言えば嘘になるかな…これからカルエゴさんと飲みに行くし』
オ「…それ、パスできない?」
『うーん…できなくも無いけど…せっかくカルエゴさんが一緒に飲んでくれるからなぁ……』
オ「…奢ると言ったら?」
『よし、ちょっと連絡するわ』

人のお金で飲み食いする物が一番美味しいからね‼︎
早速スマホを取り出し、事情を説明してカルエゴさんとの飲みは無しになった。…今回は仕方ない、カルエゴさんとはまた今度飲もう。

















『ん〜!やっぱ人の金で飲む酒は美味いなぁ‼︎』
オ「…あんま飲みすぎんなよ」
『わーかってるって〜‼︎なんかあった時はオペラが居るし、酔う前にお開きにするから〜‼︎』

お酒は好きだけど体質がお酒に弱い私は、ちびちびと度数の低いお酒を飲む。…だけどやっぱり、人の金で飲む酒は美味い。いつもより少しペースが早いと自分でも自覚する。

『…で?今日は一体何の話?』
オ「… やっぱり、若頭(ボス)の護衛につかないか」
『お断りします』
オ「ﾁｯ…」

オペラから若頭(ボス)であるイルマ君の護衛に誘われるのはこれで何度目だろうか。
4年くらい前からずっと誘われているが、私は金庫番補佐としての仕事に誇りを持っているし、正直オペラ程武術に長けているわけでも無い。それでもしつこく誘ってくる理由は、何年経ってもやはり分からないままだ。

『君は十分強いし、若頭(ボス)もただ守られるだけのか弱い存在じゃ無いだろう?…まぁ、困った時は助けてやるから、安心しなって』
オ「…あっそ」
『拗ねんなって！ほら飲め飲め‼︎』

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