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「『では
車のドアを開け、わくわくと瞳を輝かせて出てきたイルマくんの表情が段々と変わっていくのを見守る。
ごめんねイルマくん…暗いよね、怖いよね……。
イルマくんが青ざめるのも無理は無い。なぜならここはあのカララギ横丁なのだから。
カララギ横丁。そこはウォルターの観光客や富裕層をターゲットに、ありとあらゆるものが法外な額で取引されている場所。
欲望を金で満たそうとする人間が迷い込む闇市だ。当然、そういった輩もうろついている。
『まずはここの長である万屋の店主に挨拶へ参ります。その後、食事を……あれ、聞いてますか?』
イ「えっ!?…あ、はい!!」
キョロキョロと周りを見渡す私の天使。…そうだよね、やっぱりこんな暗くて怖いところ嫌だよね。私が守ってあげるからね!!
そう決意してそっとイルマくんの肩に手を置き、耳打ちする。
『…イルマくん』
イ「フェッ!?」
『会食は美味しいご飯が待ってます。すぐに終わらせて、沢山遊びましょうね』
イ「……はい!!楽しみです!!」
『ふふ、良かった』
イルマくんの緊張も解れたみたいだし、これで少しはマシになったかな。
……しかし、先程からすごく背中が痛い。オペラに後ろから睨まれ続けているせいか、すごく背中が痛い。
『……何』
オ「…別に」
『言いたいことがあるなら言いなよ。そんなに顔を顰めてると、先方に失礼だろ?』
オ「…うるせぇ」
鬱陶しそうに顔を逸らされ、少しだけ腹が立つ。なんだよ、仕事に支障が出たら困るから言ってるのに。
やれやれとため息をついていると、オペラが鼻を抑えて顔を顰めているのに気がつく。…もしかして。
『…匂い、大丈夫?』
オ「!」
『君は鼻がきくからキツいんじゃないかって思ったんだけど。…違った?』
オ「…鼻が曲がりそう」
『やっぱり』
イルマくんは既に慣れてしまって、寧ろ料理の匂いを嗅ぎつけて嬉しそうに食堂へと向かっている。
だけど鼻がきくオペラにとって、この場所は快適とは言い難い。鼻が曲がりそうって言うくらいだし。
ポケットからハンカチを取り出し、無言でオペラに渡すと、驚いたようにして目を開いていた。
『これで少しはマシになるでしょ?』
オ「悪い…」
『いいよ気にしなくて。ジブンがしたくてやってる訳だし』
オ「洗って返す」
『いい、いい!
オ「……そうか」
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らい(プロフ) - さくらさん» 素敵なコメントありがとうございます!!素人の拙い文章ですが、楽しみにしてくれているなんて光栄です😭ゆっくり更新していきますので、是非これからも楽しみにしていただけると嬉しいです!! (3月21日 21時) (レス) @page46 id: 686171bb39 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - いつも最高のお話をありがとうございます😭続きも楽しみに待ってます!受験も頑張ってください!! (2月12日 22時) (レス) @page46 id: e8dfac7bef (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 続きが早くみたい! (11月9日 23時) (レス) @page22 id: 8e30180732 (このIDを非表示/違反報告)
らい(プロフ) - 蓬さん» いつもご愛読頂きありがとうございます‼︎今回の作品も楽しんでいただけたら嬉しいです🥰 (10月29日 23時) (レス) id: 548d1d254d (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - 最近、忙しくて久しぶりに来てみたら新作が😭😭😭今回の作品も大好きです…ほんと、大好きです、ありがとうございます🥹 (10月29日 23時) (レス) @page16 id: 78f3750f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2023年10月16日 20時