被食者にだけはなりたくない。

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『……』
オ「おい、聞いてんのか?」
『……』
オ「…お前、脱がすぞ」
『やめろ!!』

車内にはピアノの音が流れ、隣ではカルエゴさんがこめかみに青筋を作って運転している。

私はというと、先程から後ろにいるオペラにずっとちょっかいをかけられている。後ろから頭をツンツンとつついて来るので、すごく鬱陶しい。

……やっぱり、仮病使って休めば良かった。

『イルマくんの前で何を言ってるんだ君は!!』
オ「昨日着拒したお前が悪い」
『知らねーよ!!どこに変態に自ら電話する馬鹿がいるかよ!?』


カルエゴさんだってほぼ病み上がりなのに…モフエゴ事件で数日寝込んでたから、私の仕事量だって半端なかった。

カルエゴさんはちょいちょい金庫室に手伝いに来てくれたけど、その時顔色ゾンビだったのよ!?

『……全く、君は金庫番をいじめて何がしたいんだ』
カ「それについては俺も同感だ」
オ「あーあー、なんにも聞こえねー」

ここって地獄かな?


……おっといけない、そろそろ目的地に着く頃だ。

今日はウォルターシティーで若頭(ボス)であるイルマくんの挨拶回り。私もウォルターシティーは初めてだから少しだけ楽しみだ。

後ろを振り返ってみれば、天使のような寝顔のイルマくんがすやすやと眠っている。…写真撮っとこ。

『……よし』
オ「…何撮ってんだよ」
『は？ジブンの可愛い天使を撮って何が悪い?』

やれやれ…。また私のイルマくんフォルダに新しく可愛い天使が追加されてしまった……。やっぱ最新機種は違いますなぁ〜。

『君だって撮ってるじゃん。ま、画質はジブンの方が圧倒的に良いけど』
オ「…お前、バラすぞ」
『ﾋｯ』

今日は1日大人しくしとこう…何されるか分かんないしね……。


カ「…お前、まさかバレたのか？」
『あ、ははは〜……』
カ「お前な……」

私達の会話を聞いて眉をひそめたカルエゴさんに、ポリポリと頬をかきながら苦笑いすると、深いため息をつかれた。

カ「…おいオペラ」
オ「何ですかカルエゴ君」
カ「……分かってるよな?」

いつもよりも低い声で、ミラー越しにオペラを睨むカルエゴさんは、どうやら私が女であることを口止めさせようとしているようだった。

……本当に、この人は優しすぎる。

『カルエゴさん…!』
オ「…言われなくても分かってますよ、ただちょっとだけ喰うだけです」
『喰うのも駄目だろ!!倫理観どうなってんだよ!?』

あぁ、頭痛くなってきた…。本当、なんでオペラなんかにバレたんだろう。

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