被食者にだけはなりたくない。

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翌日、あまりのストレスに有給休暇を取った。

バビルはカルエゴさんがいるし大丈夫。あの店は…やめようかな。

労働環境も悪く無いし、割と人間関係も良好。それなりに稼いでたし後ろ髪を引かれる思いではあるけれど…。オペラがまた来るかもしれないと思うと、頭が痛くなってきた。

『新しい副業始めるか…うーん、いやでもなぁ…お金…』

うんうん唸りながら金と自分の正体がバレるリスクを天秤にかけてみる。…いや、天秤にかけるまでもなく金だな(金の亡者)

『オペラが来た時に匿って貰えばいいし…まぁオペラぐらいいけるっしょ！なんかあればボコボコにすれば良いし‼︎』

そうと決まれば今日は有給消化。好きなことして好きなだけ休もう。…今頃バビルで頑張ってるカルエゴさんには悪いけど。



















『…え、何これ」

映画でも見ようかとテレビをつければ、画面に映っているのは我らがバビルの若頭(ボス)であるイルマ君だった。

メディアの取材解禁したの?と思いながら会見の映像を確認すれば、どうやらその映像は昨日のものだったらしい。おもちゃ会社の社長になるの?聞いてないんですけど。

脳の処理が追いつかないままテレビに釘付けになっていると、どこかで見たことのあるものが目に入った。

『も、モフエゴじゃん⁉︎』

『え、なんで、嘘でしょ、すごくモフモフ…‼︎』

イルマ君が小さい頃によく描いてたあのモフエゴが、大量のぬいぐるみになっているではないか。しかも着ぐるみまで…‼︎あれ、なんか機嫌悪そうだな…。

首領(ドン)が随分昔に作らせたあのモフエゴグッズが商品として世に売り出されるとは…。これは買わねばなるまい。モフエゴファンの一員として、絶対に買わなければ‼︎

『こうしちゃいられない、早く私も買いに行かなきゃ‼︎』

思い立ったが吉日。財布と携帯だけを持ち、ロングＴシャツとショートパンツというシンプルかつ楽な服装で家を飛び出した。


















『良かったぁ〜…思ったより人気で驚いたけど、意外とすんなり手に入っちゃった♪』

イルマくんが描いたあのモフエゴのファンにとっては、なんとも嬉しい商品。つい6体も人形買っちゃった。

ルンルンでモフエゴ人形の入った袋をのぞいていると、誰かとぶつかってしまった。…やばい、ちゃんと前見てなかった。

『す、すみませ……』
オ「……は？」
『ﾋｮｴｪ…』

……神様、私は前世で何か罪でも犯したのでしょうか。

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