愛を伝えるには【mmab】 (ページ12)

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男が好きだと分かったのは、高校生ぐらいだったか。
周りと違うことを自覚して、バレたくなくて必死に隠した。

でも大学に進学すると、高校よりも遥かに多い人が居て、更に高校生の時より考えも大人になっている事から、理解がある人は少なくなかった。
その頃から仕事も増え始めてきて、沢山の人と関わる中で同じ人がいない訳ではなかった。
だからメンバーにも話した。泣いてしまった俺を、メンバーは優しく笑って受け入れてくれた。

でも現実はそう上手くはいかない。

映画のような大失恋をした訳ではない。でも、思い切って告白をした人に振られたり、興味を示して付き合ってくれた人も結局は女が良いと言って別れてしまった。

今度こそ、と期待して結局また傷付く。そんな事を繰り返して段々疲れてしまった。

そんな時、誰が言ったのかは分からないが「阿部なら抱ける」と言われているらしい、というのを耳にした。

その時の俺はきっと寂しくて、何かに縋りたくて、どんな形でもいいから自分を求めて欲しかったんだと思う。

その噂を聞いた数日後のテレビ番組の収録後、俺によく話しかけてくれるスタッフさんに声を掛けた。

「お疲れ様です！」

「阿部くんおつかれ！今日も良かったよ」

「ありがとうございます！ていうか、お話するのちょっと久しぶりじゃないですか？またご飯連れてってくださいよ！」

「うわ、可愛い事言うなあ。じゃあ今日は？俺もうこれで終わりなんだ」

「ほんとですか？今日いけます！じゃあ後で連絡下さい！」

待ち合わせして、店に行った。

ご飯屋さんでは楽しく会話して、俺の事を可愛いと褒めてくれた。

そして帰り道、別れようとする所を引き止めて、身体を寄せた。

「阿部くん？」

「俺、まだ帰りたくないです」

「え、？ちょ、どうしたの？」

戸惑っているのを無視して、ぐっと引き寄せて耳元に口を寄せた。

「俺とそういうこと、しませんか？」

そのスタッフさんは引っかかった。そのままホテルに連れられて、それから抱かれた。男を抱くのは初めてみたいだったけど、俺は知識があったからリードしたらその後は理性をなくしたように夢中になっていた。

俺はそういう魅力があるんだ、とその時に思った。