愛を伝えるには【mmab】 (ページ2)

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阿部くんが連れてきたのは、個室の和食屋さん？居酒屋？みたいな。

居酒屋よりは高級そうだけど、料亭とかそういうのよりはフランクというか、なんかよく分かんない。

普段チェーン店の居酒屋で飲んでる俺達からしたら、流石先輩だなあって感じ。
お店のちょっとぼんやりとした照明が、阿部くんの雰囲気に合ってて綺麗だ。

「ふふ、どうしたの。そんなに見て」

阿部くんは少し酔っていた。明日は休演日だからかな。
少し頬を赤らめて、ふわふわした喋り方の阿部くんは可愛くて、なんか危ないな、と思った。

「…いや、阿部くんって綺麗だなって思って」

俺も酔ってるのか、思わず思ってた事をそのまま言うと阿部くんは目を一瞬見開いて、それから笑った。

「えぇ？なに急に。口説いてんの？」

「や、ちがくて、なんかその、消えそう？みたいな。あれ、そういうのなんて言うんでしたっけ」

「儚い？」

「そうそう、それっす」

「ふふ、儚いの？俺」

「なんか、そういう雰囲気あります」

流石にあんまり親しい仲では無いから、守ってあげたいと思うとかは言わないでおいた。

「そう？まあ綺麗って言ってくれたのは嬉しいよ、ありがとう」

「いえ、」

「ていうかもういい時間だね。そろそろ出る？」

「そうですね」

お会計は阿部くんがしてくれた。

スマートでかっこいい所もあるんだ。この人はほんと魅力だらけ。

「お待たせ。行こっか」

「はい。ごちそうさまでした」

「いーえ。先輩らしい事しちゃった」

2人で歩いて、タクシーがつかまりそうな場所に着いた。

「タクシー止めます？」

「…ねぇ、目黒」

「はい？」

もうタクシーを止める気でいたから、上げかけた右手をすっと下げる。

「今日さ、目黒を誘ったのは別の理由もあるんだよね」

そう言った阿部くんはさっきと違う雰囲気を纏っていて、心臓がドキリと音を立てた。