一泡吹かせる38回戦 ページ40
〜場地side〜
・
『それで、有栖ちゃんの言う通りだって思いました。そう思っちゃう自分も悔しい…。』
たまたま教室にあるカバンを持って帰ろうとしていた時に、会ったA。
いつかのあの時みたいに泣いていた。
自分の教室に戻るつもりだったから、今そこで話を聞いている。
もう部活が始まっている時間で、幸いにも残っているヤツはいなかった。
『千冬のこと諦めたい…。』
一度決めたことは曲げないA。
それなのに、そう零すAは相当追い詰められているのだろう。
Aがこんなに傷ついてるのは、松井だけのせいじゃねぇよな。
こんなに近くにいるのに気付かねぇ千冬もだ。
いつまでも近くにいてくれると思うのは大間違いだぞ。
泣いているAを見ていると、閉じ込めたはずの気持ちがどんどん出てきた。
「あー、もう本当俺にしときゃいーのによ。」
『え、』
俺が言うと、机に突っ伏して泣いていたAが顔をあげた。
俺の方を見て、困惑している。
「俺だって何とも思ってねぇヤツにここまで優しくしねぇよ。
Aが好きだっつってんだよ。」
机に肘をつき、そのキョトンとした顔に向かって言ってやる。
Aのその言動すべてが愛しく思えて、前髪をあげ額にキスを落とす。
本当なら口にしてやりてぇけどよ。
『場地さ…』
「赤くなるくれぇには意識してくれてんのな。」
口をパクパクしてみるみる赤くなっていくA。
それを見てニヤッと笑う。
口にしなかったのは俺の恋の結果なんて見えてるから。
それでもキスしたのは、千冬がコイツを泣かせたから。
「俺を好きになったら楽になる。
でも、Aはそれでいいのかよ。」
千冬をずっと想ってきたAを俺もずっと見てきた。
俺のモンにならねぇのは悔しいけど、Aが心から笑えねぇのはもっと嫌だ。
「松井の言われるまま諦めていいのかよ。」
『場地さんはずっと…』
「泣きてぇのはこっちだバーカ。笑」
俺の顔を見て必死に泣くのをこらえるA。
泣いていた顔は凛とした表情になる。
『諦めたくない…!
ありがとう、場地さん!』
「俺が応援したんだ。フラれてきたら殴る。」
『うんっ!!』
やっぱAは笑ってた方がいい。
今度こそ泣かすんじゃねぇぞ、千冬。
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むーこ - 場地さんのイケメンが炸裂しまくっている、、、、!悪女ちゃんまで幸せにできる夢主ちゃん、最高です! (12月29日 18時) (レス) @page50 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 場地さんがカッコ良すぎる!好きな人の恋愛相談乗るのきついでしょ(知らんけど)まじイケメン...千冬は笑えるw (2023年2月25日 10時) (レス) @page50 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 月夜さん» いや、本当それなです…。場地さんマジでカッコよすぎて死にますね…。コメントありがとうございます! (2022年3月31日 20時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 場地さんがイケメン過ぎて死ぬ (2022年3月31日 13時) (レス) @page49 id: 85781a1d6e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 東リベ推しさん» コメントありがとうございます!場地さんにはイケメンでいて欲しいという作者の希望です。笑 (2022年3月28日 17時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2021年8月29日 20時