EpisodeXLVI ページ46
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「AA〜」
『ん、なに?』
「今度ここ行かない?」
何となくだけど最近、セラくんが私に優しくなった気がする。元から優しいんだけど、色々気にしてくれるようになったっていうか。具体的に何か変わったわけじゃなくて、言葉にするのは難しいけれど、言葉とか仕草とかで何となくそんな気がするっていうだけ。
いつものように雲雀くんのお見舞いに来ていると、セラくんがそうスマホを見せてくる。ここ、というのは神社だった。
「病気平癒とか健康祈願が有名なとこらしいよ。ちょっと遠いけど…」
『行きたい…!』
「うん、そう言うと思った」
セラくんが色々調べてくれたみたい。雲雀くんが早く目覚めるようにとご利益がありそうな神社。少し距離があるけど、1番ご利益があるところに行きたい。
週末に2人で電車を乗り継いで行って、2人でお祈りしてお守りも買って来た。病室の1番見えるところに飾った。
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今日はカフェの定休日で凪くんやお兄ちゃんも一緒にお見舞いに来ていた。まだ雲雀くんは起きないけど、容体は安定している。目覚めないままなんて誰も思っていなかった。
…そんなみんなの気持ちと、セラくんと私のお祈りとお守りがきいたのかもしれない。
「…そ、の声…か、なと?」
ベッドからそう声がした。みんなが一斉に振り返る。私の視界はぼやけていて何も見えなかったけど、雲雀くんが起きたことだけは理解できた。雲雀くんが、目を覚ました。雲雀くんが生きてる。雲雀くんの声が聞こえた。
「…ひば?起きたの……?」
「か、なと…、ここって…」
「おま、トラックに轢かれて…!!」
雲雀くんが少し体を起こして、困惑した様子で病室を見渡す。お兄ちゃんの目の淵にも涙が溜まっていて、震える声で何とか事情を説明した。私はもうじっとしていられなくて、本当はダメなんだろうけど、思わず雲雀くんに抱き着いた。
『ひ、ばりくん…!!雲雀くん!!良かっ、たぁぁ!!良かったよぉぉぉ!!!』
お兄ちゃんの声を遮って、私はそう泣きじゃくる。もう話せないかもしれないと思っていた雲雀くんがそこにいて。ほっとして涙がこぼれた。
だけど、返って来た言葉は私が予想していたものとは違った。
「…誰、ですか」
雲雀くんは私のほうを向いて不思議そうに尋ねた。
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ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2024年2月18日 15時