EpisodeXLII ページ42
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1人で家に戻って、ネックレスを外す。雲雀くんがくれたネックレス。かわいいって褒めてくれたんだっけ。じわっと涙が浮かんで視界がぼやけた。しばらく1人で毛布にくるまって泣いて、泣き疲れて意識を失う。目が覚めたのはインターホンの音だった。
「A、今日泊まってもいい?」
出てみるとお兄ちゃんで、目の下が赤いままそう言って笑った。いつもなら追い返しちゃうんだけど、やっぱり兄弟が考えることは同じで私もお兄ちゃんに頼りたくなった。全部お兄ちゃんにはお見通しなんだろうなぁ。私のためってことは隠して、いつも助けに来てくれるから。
一緒にご飯を食べて、凄く久しぶりに一緒に並んで寝た。
『お兄ちゃん、そっち行ってもいい?』
「うん、おいで」
私がそう聞けば、布団で包んで抱きしめてくれる。お兄ちゃんの胸に顔を埋めると温かくて安心した。お兄ちゃんの心音が心地よかった。
『…わたし、お兄ちゃんの妹でよかったなぁ』
思わず漏れた言葉に返事はなかった。代わりに少し鼻をすする音が聞こえた。
だめだ、だめだ。私が暗くなったらみんなが暗くなっちゃう。みんなが元気じゃなくなる。前に余命を知ったときにみんなで誕生日パーティーをしてくれたことを思い出す。暗くいたって意味がないじゃないか。私にできることってないだろうか。だって、起きた時にみんなが笑ってなくて悲しむのは雲雀くんだから。
『…わたし、毎日雲雀くんのとこお見舞い行く』
「毎日?」
『うん!だって、目が覚めた時に傍にいたいじゃん。それにその方が早く目覚めると思うんだよね』
顔をあげてお兄ちゃんに言う。お兄ちゃんは私の頭を撫でると優しく笑った。わたしは大丈夫だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんがいてくれるから。
『大丈夫、雲雀くんは絶対目覚ますよ!』
「…そうだね」
『うん』
大丈夫、って雲雀くんが私にかけてくれた言葉。今度は私の番。みんなの前では暗い表情見せたりしない。
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ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2024年2月18日 15時