EpisodeXL ページ40
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奏斗なら笑って否定してくれるって。
【それ、誰に聞いたのひば。なんでひばが…】
「…っ、」
【ひば!?返事してよ!ひば!?雲雀!】
俺の手からスマホが落ちる。奏斗の今まで聞いたことのない切迫した声が耳をついて、やがて自分の荒い息遣い以外の音が遠のいていった。
…Aちゃんが、死ぬ。
「…うそ、だろ……?」
Aちゃんが俺の名前を呼ぶ声。甘いものを食べた時の幸せそうな笑顔。俺に対して照れてる顔。好きだと伝えてくれる声。一瞬にして全部浮かぶ。だって俺の頭ん中はAちゃんのことでいっぱいだから。
視界が歪んだ。目の淵に溜まった涙がボロボロ地面に落ちてシミをつくった。
もう周りの音は俺には何も聞こえなかった。
「ねぇ、あれやばくない?」
「えっ、うそ、ちょっ、」
「危ない!!!!」
次の瞬間、俺の身体にドォォンという激しい音と大きな衝撃が襲った。
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寒い。痛い。体が動かない。
「人がトラックに轢かれた…!」
「救急車!!」
「早く救急車呼んで!!」
誰かが泣き叫ぶ声が耳に入って、何とか目を開ける。
何を言ってるのか分かんなかったけど、視界いっぱいにAちゃんが泣いてんのが見えた。
『ひ‥‥くん!!‥‥りくん!!!』
…ああ、そうだ。
奏斗たちと約束したじゃん。Aちゃん泣かせねぇって。泣かせたら殴られちまうよ。セラおにも殴られたら痛いに決まってる。きっとアキラにも怒られちまう。俺のせいでAちゃんが泣いてんだから、俺が何とかしないといけないのに。
ゆっくりと視界が暗くなっていく。
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…Aちゃんには俺がついててあげなくちゃいけないのに。
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ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2024年2月18日 15時