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EpisodeXXXIX ページ39










急にAちゃんが悲しそうな顔をするから、どうにかしたかった。俺がこうなるのは、子供の時からずっと変わらない。そりゃ奏斗たちが落ち込んででもどうにかしてやりたいけど、Aちゃんはそれを隠そうとする節があるから。


せめて俺が気付いてどうにかしてやりたいって思ってしまうのは、多分それだけAちゃんがすきだから。流石にキスはやりすぎだったかもしれないけど、あれしか思いつかなかったし、俺が急にしたくなったから仕方ない。


今日楽しかったって思ってるのはAちゃんもで安心する。急に走って飲み物を買いに行ってしまったAちゃんを待っていると、Aちゃんが走っていった反対側に自販機を見つける。Aちゃんが行った方って道路だから自販機とかなくないか、そう思ってAちゃんを呼び戻しに行くことにした。









「あ、Aちゃん…!そっち自販機なかった…」









幸いそんなに遠くには行ってなくて、すぐにAちゃんを見つける。俺が駆け寄ろうとすると、どうやら誰かと電話をしていたAちゃんの声が耳に入った。








『私は余命より長く生きる。だから、私がもうあと半年しか生きられないこと、雲雀くんには言わない』








言葉の意味が理解できなかった。頭が真っ白になって、聞いちゃいけないことを聞いてしまった気がして、咄嗟に物陰に隠れる。









『あ、ううん。気のせいみたい』









物音に気付いたAちゃんがそう言うのが辛うじて聞こえた。上から心臓の位置が分かるくらい俺の鼓動が速くなる。背筋が冷たくなって変な汗が流れる。


何だ、今の。








「…はは、俺の聞き間違い、だよな?」








そう口に出してみるものの、鼓動は速度を増していく。乾いた笑いが漏れて声も震えてる。嘘だと思いたいのに、全部が本当だと訴えてくるみたいで苦しくて、咄嗟に奏斗に電話をかけた。








【はーい、もしもし?ひば?】



「か、なと…」



【どうしたの。デート中にAほったらかして電話か?笑】



「奏斗…、Aちゃんが、Aちゃんが、あと半年で死ぬって違うよな?」








いつもの奏斗の声に安心しつつも、俺はそう聞く。俺の聞き間違いだ。何言ってんだよって、そんなわけないだろって、奏斗なら否定してくれる。Aちゃんの兄なんだから、正しい事を言ってくれる。そう信じて疑わなかった。










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作品ジャンル:恋愛
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ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/  
作成日時:2024年2月18日 15時

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