EpisodeXXXIII ページ33
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「…あー、ちょっと待って緊張してきた。これ変じゃないよな?」
「変じゃないって、ひばはいつもかっこいいよーーー」
「…適当言うなって!」
「マジでかっこいいから大丈夫だって。今日は特にね」
せっかく今日はAとデートに行くっていうから、休日でお客さんの多い時にバイトを休みにしてあげたのに。なぜかカフェに来て、僕の周りでくるくる回って確認を取って来る。さっきから何度同じやり取りをしているか分からない。
本当にかっこいい、と素直に伝えれば照れた。マジでAに動画撮って送りつけてやろうかな。Aのことになるとこんな風になる雲雀を見て、Aの兄でひばの幼馴染兼友人の僕はちょっと嬉しい気持ちになる。
「…ってか、時間ヤバい!もう出るわ!行ってきます!」
「え、まだ早くない?」
「ばっかやろ、Aちゃん待たせる訳にいかねぇだろ!」
「はいはい、笑」
本当に今日の雲雀はいつもよりカッコよく見える。
まだ約束の時間まではあるのに、時計を見るなり慌てて外に出ようとする。本当にAのことしか考えてないAバカだ。手を振ろうとしたけど、咄嗟に雲雀を呼び止めた。
「…ひば!」
「ん、どした奏斗?」
「今日なんでカフェ寄ったの?」
「え、」
ひばはそんなことを聞かれると思っていなかったのか、目を大きく見開いて僕を振り返る。だって別に、今日のバイトは休みだし家から出た方が早い。当たり前のことに今気付いて、そう聞いてしまう。
答えないひばを見ていれば、目を泳がせて観念したように答えた。
「………なんか奏斗に会ってから行きてぇなってなったから」
「は?」
「いや、Aちゃんに好きって伝えたの後悔すんなって言ってくれたの奏斗じゃん。いつも助けてもらってばっかだから」
ひばはそう言うと、僕をもう一度振り返って笑う。
「いつもありがとな、奏斗!」
ひばはそう言って、今度こそカフェを出て行った。今のひば照れてやんの。その後ろ姿を見送る。
「……ばーか」
助けてもらってばっかりなのは僕の方だ。Aのことも、僕のことも、きっとセラやアキラのことも。雲雀は無意識に沢山の人を助けてる。やっぱり僕はひばのことを応援したい、改めてそう思った。
「あーあ、ひばが居ない分もかんばるかぁ…!」
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ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2024年2月18日 15時