EpisodeXXXII ページ32
・
【セラくんセラくん…!今大丈夫!?】
「大丈夫だけど、どーしたのw」
任務が終わって家に帰ってきてしばらく、Aから電話がかかってくる。連絡は取るけど電話がかかってくることは珍しい。出れば、すごく上機嫌なAの声が聞こえて思わず笑みがこぼれた。
【雲雀くんとデートする約束したの!】
「…へー、ほんと?すごいじゃん」
嬉しそうに雲雀の話をするAの声で、ちょっと心にくるものはあったけど、見て見ぬふりして明るく返す。そりゃこんなに嬉しそうな報告、雲雀のことだろうとは思ったけど、全力で惚気じゃん。
まぁ、こうやって嬉しいことを伝えてくれる中に俺がいるのは嬉しい。そう思うくらいには、2人のこと応援してんだけどさ。
【うん!あのね、デートってすっごく憧れてたの!待ち合わせして、写真も撮りたいな、一緒にご飯も食べて…!】
「……うん、良かったね」
何より余命のことを聞いて塞ぎこんでいたAを見てきたから、こうやって楽しそうにはしゃぐAを見られてほっとする。良かった、という言葉は強がりでも建前でもなく、俺の口から自然に出た言葉だった。
Aはセラくん、俺の名前を呼ぶと少し真剣な声色になって言った。
【…私ね、デートで余命のこと雲雀くんに言おうと思う】
「そっか……」
【うん】
「Aは大丈夫?」
【うん…!雲雀くんなら受け止めてくれる。私は大丈夫だよ】
Aは無理しているようには思えなくて、穏やかな声ではっきりとそう言った。前はあんなに不安そうにしていたのに。今も不安だろうけど、俺が思っているよりもずっとAは強くなってた。きっと、雲雀が何か伝えたんだろうな。
「Aは強いね」
【ふふ、強い?んー…だとしたら、多分セラくんのおかげも大きいんじゃないかな】
「俺は何もしてないでしょ」
【ううん、そんなことない。いつもありがと】
「はいはい、じゃあ楽しんでね」
【え〜、返事雑!ホントなのに〜…、うん、またね笑】
そう言って電話を切る。Aには軽く返事をしたけど、そんなことを言ってくれるとは思っていなくて素直に嬉しかった。
めっちゃ惚気られて、好きな子の恋のアドバイスまでしてて。多分、漫画とかだったら俺のポジションって1番辛いんだろうけど。思っていたよりずっと、辛くもないしすっきりしてる。
・
403人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこれーと(プロフ) - すと@STo_dreamさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…(´;ω;‘)更新頑張ります!! (2月19日 11時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
すと@STo_dream(プロフ) - 新作!!待ってました!!もう既に神小説の予感しかしません…。ちょこれーと様ありがとうございます!次の更新が待ち遠しいです(笑) (2月18日 20時) (レス) @page4 id: 47475b39fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2024年2月18日 15時