・ ページ7
・
『…葛葉くんって何で私のこと好きになったの？』
荷物を無事職員室に届け終わって、夕暮れに染まった道を2人で歩く。葛葉くんが無言だったから、私は気になったことを聞いてみることにした。葛葉くんは一瞬戸惑ったように目を泳がせたけど、私がじっと見つめていれば観念したように話してくれた。
「…何か、人が嫌がることとかも何でも一生懸命やるし、いっつも笑ってるし、すげぇなって気付いたら目で追ってた」
『そう、なんだ…。えっと、ありがとう…？』
「…もしかして俺のこと怖い？」
『いや…！あー…正直怖かっ
「今は？」
『怖くない』
「そっか。何か怖がらせてるかと思ってたから良かったわ」
葛葉くんは私のいろんなところを見ていてくれたのに気付いて、少し恥ずかしくなる。私への話し方がぎこちないところとか、一挙一動に赤くなるところとか、もう葛葉くんのことは怖くなくなっていた。怖くない、と伝えればあからさまにほっとする葛葉くんを見て何だか胸がきゅうっと締まる。
『…Aって呼んで欲しいな』
思わずそう言えば、葛葉くんがびっくりして私の方を見て赤くなって顔を背けた。その後に消え入りそうな声で「分かった…」と言われる。ちょっとずつ敬語が抜けていくのが何だか嬉しかった。
「俺からもいいスか。あの、Aさ…じゃなくて、A…」
『うん？』
「手、繋いでもいい？」
『いい、よ』
葛葉くんにつられて私の顔も熱を持つ。おずおずと手を差し出せば、優しく握り返された。思ったよりもずっと、葛葉くんの手は温かい。
『葛葉くん、照れてる？』
「……うるせぇ」
手で顔を覆ってしまった葛葉くんを見て思わず笑みがこぼれる。私もきっと同じような顔をしているから、葛葉くんに見られなくて良かった。
『葛葉くん』
「……なんスか」
『すきって伝えてくれてありがとう』
私も葛葉くんがすきだよ、と笑えば「〜〜っ」と葛葉くんが声にならない悲鳴をあげる。怖かったはずの彼が心底可愛くて愛おしく思えた。
きゅっと繋いだ手に少し力を込めれば、そっと優しく握り返してくれた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1621人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこれーと(プロフ) - しきさん» コメントありがとうございます！少しずつ解像度あげて書けるように頑張ります！ (3月7日 21時) (
レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - ﾋ-ﾛーまってます！ (2月28日 20時) (レス) @page39 id: 3ca2ff76bf (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 征狐さん» コメントありがとうございます！正直メンタル終了してたことが多々あったので、ゆっくり休みます…。ありがとうございます！！ (2月12日 15時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
征狐(プロフ) - 合格おめでとうございます！今まで大変だったと思います、ゆっくり休んでくださいね…✨ (2月12日 15時) (レス) id: 884f1b32a5 (このIDを非表示/違反報告)
のんはる(プロフ) - ちょこれーとさん» 私なんかの小説を！？ありがとうございます！！これからも更新楽しみにしてます！！ (2月10日 21時) (レス) id: 938b37ffce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちょこれーと
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時：2024年1月2日 15時
