26、素直さに免じて ページ28
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すっと喉に冷たい空気が入ってきて、自分の中に僅かに期待があったことを自覚する。
最初から分かってたじゃん。僕が勝手に言ったことで、これで僕は用済みってことだ。
傷付くって分かってるのに、どうしても気になった僕は聞いてみる。
「どんな人?」
『えっ、あっ…うーん…、すごい優しい人で』
Aは一瞬びっくりしたように目を丸くすると、嬉しそうにその人を思い浮かべて言う。
『冷たく見えて、実は私の事大切に想ってる人で』
思ったより傷付くけど、僕から聞いたから黙って耳を傾ける。
『たまにカッコよくて、負けず嫌いで、意外と甘いものが好き』
その表情から本当に好きなんだと察する。
『私より頭が良くて、私が作ったプリンが好きで、ずっと私を好きでいてくれて、』
は?お前、それ…
思わず顔を上げた僕にも構わず、Aは続けた。
『自分の気持ち隠して、私の恋を応援しちゃうくらいなんだよ。私はそれに気付くのも、自分の気持ちに気付くのも遅くて、やっと気付けたんだ』
やっとAと目が合う。
今どんな顔してるか分からなすぎるから、見られたくないんだけど。
それでもAの嬉しそうな顔を見て、そんなことは心底どうでもよくなった。
『私は、刀也のことが大好きです。私と付き合ってください』
「…また、蛙化対策…?」
『刀也はそれでいーの?』
えへへ、といたずらっぽい笑顔を浮かべるA。
自分の特徴あげられて、それに傷ついてマジでバカみたいだ僕。
『本当はね、また好きな気持ち無くなっちゃうんじゃないかってまだ少し怖い。けど、刀也となら大丈夫って思えるの』
ぎゅっと冷たい手が僕の手を強く握る。
『で、早く返事してもらえません?とーやサン』
何だよソレ。僕がどんだけ待たされたか分かって言ってんのか。
「僕はもっと待たされたけど」
『それはごめんって。だから今度は私からちゃんと告白したかったの』
握られた手を引き寄せて、そのまま抱きしめる。
顔見られたくないのと、訳が分からないのとゴチャゴチャだ。
「今日のAの素直さに免じて、OKしてあげます」
『ははは、刀也くるしーよ?あと、そこは可愛さに免じてじゃない?』
「は?」
『え、怖い怖い』
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mil(プロフ) - あぁ、最高だ。。。 (7月4日 15時) (レス) @page36 id: 5c38ee4561 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - リンさん» 私も周りが結構多いんで、それでちょっと思いついた作品でもあります…!マジで衝動書きみたいなモンなんですけど、そう言っていただけると嬉しいです! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - ころろさん» コメントありがとうございます!おお‥何かコンプリートしてしまった(笑)嬉しいです!期待に応えられるように頑張ります! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - エイの干物さん» コメントありがとうございます!新作出すのお待たせしてすみませんでしたぁ!!嬉しすぎるお言葉…!頑張ります!エイの干物さんも体調に気を付けてくださいね! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - わたしがいま蛙化現象真っ最中なのでめっちゃ嬉しいです (2022年12月3日 10時) (レス) @page5 id: 0f87eba771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年12月2日 23時