1、腐れ縁というやつ ページ2
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「いや、何でいるんですかアンタ」
『え〜、剣持の家は私の家だから?』
部活帰り、疲れて家に帰ってくると僕の部屋でスマホをいじってる奴。
僕がいないのにいるとか何なんだよ。自分の部屋あるだろ。
暇なのかよ。いや、いつでも暇かコイツは。
このやり取り何回目…と半ば呆れながら問うと、スマホに視線を映したままのソイツから何とも適当な返事が返ってくる。
「せめて玄関から入って来いよ」
『入って来るなって言わない当たり剣持は優しいねぇ』
「別に追い出してもいいんですけどね」
Aと僕は所謂腐れ縁というやつ。
コイツが幼稚園前に引っ越してきて、親同士が仲良くて高校生現在まで一緒。
そんなこんなで10年以上一緒にいれば、気付きたくなくても気付いてしまうものだ。
Aの様子が少し変なことに。
『あっ、ちょっ』
「何かあったんですか」
Aの隣に座ると、彼女からスマホを取り上げる。
Aはじっと僕の顔を見た後、視線を逸らしてコクリと頷いた。
最近は僕の部屋に不法侵入してくることも無かったし、何となく察しはついてる。
『彼氏と別れちゃった』
「…またかよ」
この会話も何回目。
Aは僕と違って恋愛経験が豊富な方。
ただいつも長続きしない。
最初は僕のせいなんじゃねぇの、とか考えたりもしたが、コイツに彼氏がいる時は距離とったりしてたし多分違う。
コイツが来る者拒まず去る者追わずなだけかとも思ったが、それも違うらしい。
惚れっぽいところはあるけど、気持ちがないのに付き合うほど適当な奴じゃないことを僕は知ってる。
「それって前言ってた先輩だっけ、」
『うん。最初より冷たくなったよね、って言われてフラれちゃった』
私が悪いんだけどね、と付け足して笑って見せるA。
そういえば、最近一緒にいんの見てなかったな。
「好きじゃなかった?結構惚気られた覚えあるけど」
『あー…うん』
どこまで踏み込んでいいんだよコレ。
ただある程度本人の中で折り合いはついているみたいで、Aの表情は割と淡々としていた。
でも、僕の質問に急に歯切れが悪くなる。
あー…と言葉を繋げるように唸ると、意を決したようにAは口を開いた。
『多分私、蛙化なっちゃうんだよね』
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mil(プロフ) - あぁ、最高だ。。。 (7月4日 15時) (レス) @page36 id: 5c38ee4561 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - リンさん» 私も周りが結構多いんで、それでちょっと思いついた作品でもあります…!マジで衝動書きみたいなモンなんですけど、そう言っていただけると嬉しいです! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - ころろさん» コメントありがとうございます!おお‥何かコンプリートしてしまった(笑)嬉しいです!期待に応えられるように頑張ります! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - エイの干物さん» コメントありがとうございます!新作出すのお待たせしてすみませんでしたぁ!!嬉しすぎるお言葉…!頑張ります!エイの干物さんも体調に気を付けてくださいね! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - わたしがいま蛙化現象真っ最中なのでめっちゃ嬉しいです (2022年12月3日 10時) (レス) @page5 id: 0f87eba771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこれーと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/64be1a2e2a1/
作成日時:2022年12月2日 23時