多分い じめられてます【灰谷蘭】

8、名前呼び ページ8

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「あとさー、灰谷くんってやめてくんね？」



『え、？』









適当に雑談をしながらお弁当を食べていると、灰谷くんがふとそう言った。
何でだ…？と続く言葉を大人しく待つ。









「俺、竜胆っていう弟がいるんだけど、灰谷って呼ばれると紛らわしいから」



『う、うん…？』









そう答えてはみたもの、あまり腑に落ちない。









『でも私、弟さんのこと知らないし、呼ぶのはこっちの灰谷くんだけだから別にいいんじゃ…』



「これから会う可能性もあるだろ？灰谷灰谷でややこしーじゃん」



『それはそう…なのか…？』



「細かいこといいから言ってみ？」








灰谷くんからしてみれば、理由などどうでもいいらしい。
私の声で灰谷くんって聞こえたら、蘭の方って分かるはずじゃん。
そう思ったけど、灰谷くんに急かされる。


確かに灰谷くんを苗字で呼んでる子、あんまりいないかも。
女の子とか蘭〜♡って呼んでるし。
でも私、男の子を下の名前で呼ぶことなんて無かったのに。


もう1度灰谷くんの顔を伺うと、どうやら私が言うまで逃がす気はないようだった。









『ら、蘭くん…でいい？』









…意外と恥ずかしいコレ。
別に私に絡むのを面白がってるだけだから、照れる必要なんて皆無なんだけど。
というか、早く何か言ってよ！








「…あと5分でチャイム鳴るし戻るか」



『ノーコメントですかっ！？』









灰…蘭くんはそそくさと席を立つと教室へ戻ろうとした。
蘭くんがややこしいって言ったから呼んだのに！









「…いや、くん付けされんの慣れねぇな〜って思っただけ」



『あぁ…流石に呼び捨てはちょっとなー…って』










私が慌てて後を追うと、蘭くんは私に背を向けたままそう言った。


くん付け嫌かな〜とも思ったけど、ただの地味なパシリに呼び捨てされる方が嫌でしょ。
そもそもクラスの可愛い女の子と同じ呼び方なんて、とてもできるはずがない。










「俺はまぁ、これからAって呼ぶわ」



『へ…？何で！？』



「さぁな」










…自分が名前で呼ぶより恥ずかしいのですが。


蘭くんは少しミステリアスかもです。














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