少女漫画のようにはいかない【松野千冬】

告白＊13連敗 ページ13

・











『嫌だよバーカ』



「…っ！」











Aさんのあんな顔初めて見た。
俺に向かって笑ってくれた。
前と全然違う顔。


口も結構悪いし、
俺の告白も断るし、たまにスルーするし、
Ｓっ気あるし、俺の事からかってくるし。


今日、Aさんに好きな人がいるって分かって傷付いた。
でも、失恋の痛みをしってる強い人だって分かった。
思いやりがあるカッケェ人ってことも。
やっぱり俺は、Aさんが好きだ。











「また顔あちぃ…」












俺の告白受けるつもりねェくせに。
ここまで俺の心を奪っちまうとか。
Aさんってズリィ人だな。












・








「そこの可愛い子♡俺とどっか行かね？」



『…は？あ、れ』



「学校帰りか？Aちゃん。電車一緒だなー」



『なんだ、夏也さんか。笑』



「何だとはなんだ〜？つーか、夏也さんってやめねー？家族なんだし、夏兄くらいでいいんだぜ？」



『えー、夏也さんお兄ちゃんって感じじゃなーい』



「Aちゃんはつめてーなー」
















Aさんに好きな人がいるって知ってから、たまに考える。


Aさんはもう、ずっと報われない片想いをしてる。
誰の告白もＯＫしねェってことは、Aさんの中には変わらず好きな人への想いがあるわけで。
あんま考えると、俺が辛くなるんだけど。


例えば、どんな顔してるんだろうか、とか。
Aさんはどんな声でその人の名前を呼ぶんだろうとか。


俺がAさんを想うように、Aさんはその人を想うのかな、とか。


好きな人が自分じゃない誰かをそんな風に思ってんのは、胸が苦しい。
でもきっと、それはAさんも同じ苦しさを味わってんだ。









Aさんは、自分の気持ちをどうするつもりなんだろう。
何もせず、ただひたすら消えていくのを待つのか？


そりゃそうだよな。
Aさんの好きな人は、もうお姉さんの旦那なんだし。
今更好きって伝えても…。









でもそれって、すげェ切ない。









Aさんに恋をして分かった。


Aさんが大好き。
俺はこの気持ちを大切にしたい。


だから、俺はそれを毎日言葉で伝えている。
それがどれだけ一方的でも。








だって、恋は誰かのことを思ってするものだけど。…
その気持ちを大切にしてあげられるのは、
結局自分しかいねェから。








なぁ、Aさん。
Aさんは、自分の気持ち…大切にしてますか？

告白＊14連敗→←告白＊12連敗

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す