東卍の姫が悪女らしいので何とかしたい。【東京リベンジャーズ】

27、もう少し ページ27

・






「A…！」


『お兄ちゃ…ちょ?!』







無我夢中で走っていると、後ろからお兄ちゃんの声がした。


隣を千冬も走ってくる。


そのまま私に駆け寄り、私が何か言う間もなく抱きしめられる。







『お兄ちゃん…？』


「…」







上を見上げても目を逸らされるだけで、何も言わなかった。


無言のまま、抱きしめる力が強くなって背中を優しく叩いてくれる。


不器用でも私を慰めてくれてるんだ。








『うっ…っ…』








また静かに涙が溢れ出した。


顔をお兄ちゃんの胸元に押し付けて泣いていたけど、特攻服を汚したくなくてそっと視線をあげる。


すると、少し笑ってハンカチを差し出す千冬と目が合った。








『…ありがと』








私は千冬からハンカチを受け取る。


全身にお兄ちゃんの体温が伝わって、温かかった。


規則正しく背中を叩いてくれるお兄ちゃんと、そっと頭を撫でてくれる千冬のおかげで少し落ち着いてきた。








『わ、たし…エルさんにっ…あんなことしてない…』


「ンな事分かってんだよ」


「俺も場地さんもお前の味方だから」


「だから心配すんな」








やっぱり諦めたくないな。


マイキーくんの事。


エルさんにこんな形で負けるなんて嫌だな。


そうだ、私には信じてくれる人がいる。


私はまだ強くなれる。








『うん！ありがと、お兄ちゃん、千冬』










もう少し頑張ってみようか___________

28、俺の妹なんだから→←26、逃げ出して

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す