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『たくさん働いたんだね、さすがドイツだよ。えらいねえ』

ちいさなぬくもりは、ゆっくり、ゆっくりと俺の髪をなで続ける。そして耳元で俺のことを褒めちぎるのだ。赤ん坊に言うように、やさしく。

「…A」

名前を呼ぶ、俺を抱きしめる方の手を握って。見上げると、愛しい笑みが花開いていた。

『ぼーっとしてたね、だいぶお疲れのご様子』

「ああ…俺としたことが、随分働き詰めていたらしい。この通り、何も手につかん」

そう言って手持無沙汰な左手でAの頬に触れる。普段なら小恥ずかしくてできないのに、今日は流れるような動作で触れていた。


Aがほしい。


なにもいかがわしい意味ではない、ただ、純粋にそう思った。

「A、こちらに来て話を聞いてくれないか?」

ソファの空いたスペースを指して尋ねる。
「素直にかわいくおねだりすればいいんだよ〜」、恋愛慣れしたイタリアの言葉が頭をよぎった。

『もちろん、いくらでも聞きますよ』

にっこりと笑んで俺の横に腰を沈めるA。積み重なった疲労のせいか、彼女のひとつひとつの行動がひどく愛おしく感じた。


それから俺は自分でも驚くほど立て板に水のごとく、仕事の不満や悩みをAに打ち明けた。
俺が話しているときもAは黙って、たまに相槌を打ちながらじっと耳をかたむけてくれていた。

そのおかげか、話し終えた後はたまっていた毒素が抜けきったみたいに心が軽く、鈍っていた頭も少しずつ回転するようになっていた。

『ドイツ、本当にお疲れ様。愛してるよ』

俺の胸に顔をうずめ、愛おしげに呟く恋人の頭を撫でる。


愛しのあの子に癒されたい、いつかフランスがぼやいた言葉を胸に抱いて。

帰りたい?[イタリア]→←愛しのあの子に癒されたい[ドイツ]



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作者名:しろもち | 作成日時:2024年2月15日 18時

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